アジア大会32年間で最大の圧勝 “800m超逸材”落合晃を“800m指導未経験”大八木総監督はどう育てた…「1分42秒台」への設計図

勝負優先でも落合が先頭を走る理由は?
600メートルまでの落合は、どんな走り方をしたのだろうか。
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アジア大会や世界陸上、オリンピックは記録を狙う大会ではなく、メダル(着順)を取ることが優先される。落合も予選(1分45秒90)を通過した後には、「決勝は勝負レース」と話したが、落合の場合は一般的な中・長距離選手と違い、集団で待機する走り方が“勝負優先”のレースとはならない。力を温存することが当たり前の予選でさえ、落合は先頭を走って大会記録に迫っている。
大八木総監督も落合がレースを引っ張ることも前提に、タイムを出すことが勝つことにつながると考えていた。「1分44秒台の自己記録を持つ選手が4人いましたが、落合は予選を7~8割で走って1分45秒台でした。決勝で1分43秒近くを出せば勝てますね」
決勝の200メートル通過は25秒8。昨年の東京世界陸上(予選)は24秒9、今年5月に日本新を出した時は24秒6のスピードを経験している。落合にとって25秒8は遅く感じられた。
「色んなレースパターンを想定していましたがハイペースにならない様子だったので、200メートルで自分が(先頭を)行く展開に切り換えました」
中途半端なスピードではペースメーカーとして利用されてしまうが、ハイペースに持ち込めば相手を消耗させることができる。400メートルまでの200メートルは25秒6。スピードが落ちることが多い区間を0.2秒上げたことで、他の選手は“速い”と感じただろう。600メートルまでは前述のように26秒5で、そこまで速くはない。中東勢も食い下がったが、表情や上体の揺れ方などを見ると明らかに、落合の方に余裕があった。
落合は日本記録も狙っていたことを、決勝レース後に明かしている。
「予選の走りからタイムを上げられると思っていたので、自分から積極的に行って、1分43秒台の自己ベスト(日本記録)を意識しながらレースをしました。タイムはついてきませんでしたが、勝負のレースで勝ち切れたことは評価できます」
5月に日本新を出した2レースでは500メートルまでペースメーカーがつき、残り300メートルから落合が行ききった。その2レースは500メートル通過が今回よりも速く、アジア大会の落合には余力があった。何より「残り600メートルを1人で押し切れたのは、練習のたまものでしょう」と大八木総監督が言えるほど練習の裏付けがあった。
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