ピストルが鳴ってからでもフライングのナゼ 「0秒100」を争うスタートの世界…あえてメガネを外す選手も?
愛知・名古屋アジア大会の陸上は、連日熱戦が続いている。今回は32年ぶり3度目の自国開催。「THE ANSWER」はまだ陸上をよく知らないファン向けに、開催地・愛知県で生まれ育った元女子短距離日本代表・市川華菜さんに「今さら聞けない、陸上競技の素朴な疑問」を全7回に分けて聞いた。6回目のテーマは「スタート&フィニッシュ」について。

「THE ANSWER 陸上PLUS|INTERVIEW」 今さら聞けない、陸上競技の素朴な疑問Vol.6
愛知・名古屋アジア大会の陸上は、連日熱戦が続いている。今回は32年ぶり3度目の自国開催。「THE ANSWER」はまだ陸上をよく知らないファン向けに、開催地・愛知県で生まれ育った元女子短距離日本代表・市川華菜さんに「今さら聞けない、陸上競技の素朴な疑問」を全7回に分けて聞いた。6回目のテーマは「スタート&フィニッシュ」について。
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――ピストル音が鳴ってから早く出過ぎても、フライングになるんですよね?
「そうなんです。0秒100未満でスタートすると、ピストルが鳴ってからでもフライングになります。人間が音を聞いてから反応するまで、最短で0秒100はかかるという医学的な根拠に基づいた数字だそうです」
――人によっては、0秒100より速く反応できることもあるのですか?
「海外の選手で、普通に音を聞いて出たのにフライングになったという話は聞いたことがあります。感覚が研ぎ澄まされている人は、それより速く反応できてしまうこともあるみたいです。ただ、0秒100という基準が決まっているので、そのルールの範囲内でやるしかないですよね。そう考えると難しいですよね(笑)」
――スタートではどのようなことを意識されているのですか?
「100メートルの場合、スタートの時って、横並びなので、横の人たちに気を取られてしまうと、出遅れてしまうんですよね。私がやっていたのは、周りが見えないように視界をぼかすイメージです。スタートの時は下を向いているのですが、頭の上から前に進む意識を持っていました。そうすると、周りが気にならなかったので、私はそうしていました」

――サングラスで視界を絞るという選手も聞いたことがあります。素人過ぎる質問で恐縮なのですが、「視界をぼかす」という部分で、あえてコンタクトを外して走る選手もいらっしゃたりするのですか?
「たしかに、言われてみれば、目が悪いから周りが気にならないって言っていた選手も過去にいましたね。メガネを外して、視力は悪いけど、『レーンだけ間違えないようにすれば大丈夫。緊張しちゃうから、あえて目が悪い状態で走る』って話してました。私のチームメートで(笑)」
――フィニッシュは「トルソー(胴体)」がフィニッシュラインに達した瞬間と定められています。あのフィニッシュ姿勢は練習するのでしょうか?
「基本的にトップ選手はあまりしないと思います。頭ではなく胸で(タイムを)取られるので、ついつい頭から行ってしまう選手は練習するかもしれないですけど……。ただ、学生だとフィニッシュの仕方で0秒01の差がつくことも多々あるんですよね。その姿勢が少し苦手な学生には、たまに練習させています」
■市川 華菜 / Kana Ichikawa
1991年1月14日、愛知県豊田市出身。同市・豊南中から陸上を始める。岡崎城西高、中京大を経て、2013年にミズノ入社。五輪は2012年ロンドン大会、世界選手権は2011年大邱大会、2015年北京大会で代表入り。アジア大会には2014年仁川大会、2018年ジャカルタ大会と2度出場した。2017年日本選手権では女子100メートル、200メートルの2冠を達成。2021年に現役を引退。22年春に日本選手権男子100メートルで優勝経験を持つ佐分慎弥さんと結婚。現在は3歳長女の育児に励みつつ、中京大コーチ兼ミズノブランドアンバサダーを務める。
(THE ANSWER編集部・上田 悠太 / Yuta Ueda)
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