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アジア大会32年間で最大の圧勝 “800m超逸材”落合晃を“800m指導未経験”大八木総監督はどう育てた…「1分42秒台」への設計図

愛知・名古屋アジア大会の陸上男子800メートル決勝で、落合晃(駒大2年)が1分44秒48の大会新記録をマークして優勝。1962年ジャカルタ大会で制した森本葵さん(当時リッカー)以来、64年ぶりの快挙だった。2位との差が過去32年間で最大という圧勝の裏には、駒大・大八木弘明総監督が組み立てた独自の強化法がある。なぜ勝負優先のレースでも先頭を走り、残り600メートルを押し切れるのか。そして、森本さんの教え子だった“駅伝の名将”大八木総監督が今、なぜ指導未経験だった800メートルで日本記録保持者を育てているのか。その強さの背景をひも解く。(取材・文=寺田 辰朗)

愛知・名古屋アジア大会男子800メートルで優勝した落合晃【写真:奥井隆史】
愛知・名古屋アジア大会男子800メートルで優勝した落合晃【写真:奥井隆史】

「THE ANSWER 陸上PLUS|INSIGHT」 愛知・名古屋アジア大会男子800メートル

 愛知・名古屋アジア大会の陸上男子800メートル決勝で、落合晃(駒大2年)が1分44秒48の大会新記録をマークして優勝。1962年ジャカルタ大会で制した森本葵さん(当時リッカー)以来、64年ぶりの快挙だった。2位との差が過去32年間で最大という圧勝の裏には、駒大・大八木弘明総監督が組み立てた独自の強化法がある。なぜ勝負優先のレースでも先頭を走り、残り600メートルを押し切れるのか。そして、森本さんの教え子だった“駅伝の名将”大八木総監督が今、なぜ指導未経験だった800メートルで日本記録保持者を育てているのか。その強さの背景をひも解く。(取材・文=寺田 辰朗)

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 日本にとって1962年ジャカルタ大会の森本葵さん以来、64年ぶりの金メダルだった。

 フィニッシュ後の落合晃は開口一番、周囲への感謝を口にした。

「大きな声援の後押しのおかげで金メダルを取ることができました。走りで色んな方に恩返しをしたかったので、金メダルを取ることができてよかったな、と思います」

 詳しくは後述するが、恩返しをしたかった一番の存在が駒大の大八木弘明総監督で、大八木総監督の恩師が他ならぬ森本さんである。

 落合の優勝タイムは1分44秒48。大会記録(1分45秒45)を1秒近く更新したこともすごかったが、2位とのタイム差も高く評価できた。2位のA・アミリアン(イラン)につけた0.62秒差(約5メートル差)は、0.72秒差だった1994年広島大会以降で最大だった。

「今回は大型モニターを見られなかった(後続の位置が確認できなかった)し、タイムも出したかったので、ラストは必死で切り換えました。残り200メートルでの切り換えは練習の中でもやってきました。実際上がっているかどうかわかりませんが、自分の意識の中ではラスト100メートルでしっかり切り換えて走ることができたと思います」

 落合の200メートル毎の所要タイムは、手元の計測で以下の通りだった。

0~200メートル:25秒8
200~400メートル:25秒6(51秒4)
400~600メートル:26秒5
600~800メートル:26秒6(53秒1)

 ハイペースの場合タイムが落ちて当然の最後200メートルが、その前の200メートルより0.1秒しか落ちていない。実質的には上がっていると言ってよく、落合自身が言及したように切り換えがしっかりできていた。

 小柄な落合が体幹のまったくぶれないフォームで、ラスト勝負で強さを発揮してきた中東勢を最後の直線で引き離していった。

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