「親戚の家に泊まれるのに…」指定ホテル強制、観戦も有料化 米国ユーススポーツに何が起きている?
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「ユーススポーツと新しいお金の流れ」。

「Sports From USA」――今回は「ユーススポーツと新しいお金の流れ」
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「ユーススポーツと新しいお金の流れ」。
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米国では、ユーススポーツにプライベート・エクイティ(PE)などの投資ファンドの資金が流れ込んでいる。ユーススポーツは儲かるビジネスだからだ。投資ファンドの資金を背景にした企業が、ユースチームやリーグ、競技施設を買収し、試合の参加費、観戦するための入場料、試合の映像配信に至るまでを収益化する。
米誌「ニューヨーク」は今年8月の特集記事で、その仕組みを報じている。子どもがチームに入ると、保護者は登録料や参加費を払う。大会に出場するときには、系列の予約システムを通じて指定ホテルに泊まらなければならないこともある。記事には、会場から車で15分の親戚宅に泊まれるのに、指定ホテルを予約しなければならなかった家庭が登場する。さらに投資ファンド傘下の企業が所有する施設で試合をするため、隣町のチームと対戦するだけなのに、州外まで出かけることも起きていると伝えている。
この他の報道では、試合会場では(これまでは無料だった)入場料や駐車料金を払い、来場できない家族や祖父母が試合を見るには映像配信を購入しなければいけない、保護者撮影による試合のライブ配信を禁止し、自社の映像配信を有料にしているところもあるという。子どもがスポーツをするとなると、パッケージとしてさまざまなことにお金を支払わなければいけないようになっている。
私の住むミシガン州でも、地域ごとに運営されてきたアイスリンクのいくつかが、PEの資金を背景にした企業の傘下に入った。その一つがブラック・ベア・スポーツ・グループである。同社はリンクだけでなく、チーム、リーグ、大会、練習プログラム、映像配信も運営している。投資資金が入らなければ、古くなったリンクの維持は難しかっただろうから、こうした企業がリンクを救ったという見方もできる。しかし、一つの企業グループがリンクを所有し、そこで活動するリーグやチームも運営すると、どのようなサービスを、誰に、いくらで提供するかを企業側が決められる範囲が広がる。
私はこれまでも、アメリカのユーススポーツはお金がかかると伝えてきた。しかし、投資ファンドが参入すると、お金のかかり方が変わる。単に総額が高くなるというだけではない。保護者が、子どものスポーツに、どのくらいお金を使うかを吟味する余地が少なくなる。
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