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そりゃ強いわけだ 陸上100mに現れた逸材…今季GP4勝、半導体研究に励む国立大院生24歳の思考論――山本匠真

山本(左から3人目)は課題を見つければ、そこを1つずつ埋めていく【写真:奥井隆史】
山本(左から3人目)は課題を見つければ、そこを1つずつ埋めていく【写真:奥井隆史】

自分のレースを分解し、どこが強く、どこが弱いのかを把握できる

 自分を客観的に見つめる視点に長け、好記録を出せるレースの「再現性」をつかみつつある。

「元々、自分のレース展開って、スタートはちょっと速い、中盤は遅い。で減速はあんまりしないから後半は少し速いという感じ。前後半が速くて、中盤が遅い形だったんですね。同じレベルのタイムを持っている選手と比べると、トップスピードがあまり出ていないタイプの選手だった。スタートの力感をちょっと変えて、しっかり中盤でトップスピードを出せる走りに改善してきました。それが最近は上手くハマって、再現性も高まっているのではないかと思います」

 昨季に苦しんだ腰痛を克服した。万全となったコンディションに加え、技術も定着し、自信も深まってきている。

「元々、減速は少ないタイプなので、割と後半も走れる。日本選手権以降はしっかりトップスピードも上げられるようになった。スタートを改良したおかげで、トップスピードを持たせられるようになってきた。前半で多少、出遅れたとしても、最後にまくれる自信がついてきています。日本選手権で、怪我を完全克服したなと思えるスタートが出せたのが大きかったです。それも自信になっているのかなと思います」

 自分のレースを分解し、どこが強く、どこが弱いのかを把握できる。課題を見つければ、そこを1つずつ埋めていく。

 ルーティーンは視界を絞ること。スタート位置に立つと、自分のレーンだけを見つめ、集中力を高める。試合に挑む中で、意図的に思考をシンプルにする。「考えるのは1つだけに絞る。足りない部分を挙げだしたら、キリがない。(意識は)試合では最大でも1つ。『ここだけは解決する』と集中する。それで頭をシンプルにできて、普段通りのレースができているのかなと思う」と話す。

 もともと陸上は中学から始めた。「小学校の時はサッカーをやっていたのですが、ボールコントロールなど、めっちゃ下手だった。ただ、(周囲より)足だけは速かった」という理由だった。

 競技場を離れれば大学院生になる。広島大の工学部では電気電子・システム情報系の勉強を重ねた。現在、同大学院で取り組んでいるのは半導体の研究だ。

 両立の秘訣を問われると「あんまり自分で両立できているとは思わないですけど…」とした上で、続く言葉に山本らしさが表れていた。

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