世界8傑目前…エディージャパンは本当に強くなった? 9月3連勝、強敵フィジー撃破でも残る“最後の宿題”
3連戦で目を引いたWTBブルアのプレーぶり
エディーは、アメリカ戦後の会見で、フィジー戦へ向けて「フィジーは体格で我々上回り、BKでも1人当たり10kg、15kg重いはずだ。そんな相手に対して、攻撃でしっかりとボールをコントロールすること、そして防御では相手の(得意な)オフロードパスをしっかり止めることという、シンプルだがやるべきことを忍耐強く、80分間規律を持ってやり続けることが大切」と語っている。その指摘通り、決勝ではボールを繋ぎ、世界中で脅威となるフィジーのオフロードパスをわずか1回(日本は7回)に封じ込める防御と、反則数(5対14)で優位に立った。防御の詳細を見ると、勝負のかかった後半開始から、アタックが強みのフィジーを29分まで自陣22m内に入れなかった堅守も、勝利のキーポイントだったのと同時に、チームの進化を証明する。
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攻撃面から個々の選手のプレーを見ても、紹介したフィジー戦のアタックが示すように試合を重ねる毎に役割分担、その役割の遂行力、プレー精度に進化は認められる。ガンター、CTBライリーが攻守でチームの核になるのは変わらないが、フィジーのように一発(1人)でスコアまで持っていく爆発力のない日本は、チャンスシチュエーションまでボールを辛抱強く繋ぐことが信条でもある。そこで、相手とコンタクトしてのボールキャリーではLOホッキングスや、カナダ戦で代表デビューしてからプレータイムを伸ばすWTBブルア、No8マキシといったフィジカルに勝る海外出身勢が担い、ワークレートが高いフロントロー始め和製メンバーが密集戦、状況に応じたサイドアタックと“繋ぎ役”として脇を固める。
そんな役割分担が定着する中での3連戦で目を引いたのは、先にも名を挙げたWTBブルアのプレーぶりだ。流通経済大時代から横浜キヤノンイーグルス―神戸Sとマッシブなボールキャリーで鮮烈な印象を残してきたパワーランナーだが、代表デビュー2戦目のアメリカ戦では、従来とすこし異なる印象を残した。過去のブルアは自分で強引に突破を狙うタイプだったが、アメリカ戦の後半11分には、連続攻撃の中で2度パスを受けて短いゲインからボールをリサイクルして、TMOでトライと認められなかったが原田の独走に繋げている。3分後のPKのシーンでも、自ら速攻を仕掛けると、その後のサポートランから再度パスを受けて、コーネルセンへラストパスを繰り出している。ブルア本人は、フィジー戦後にこんなコメントを残している。
「いつも取り組んできたところだけど、毎試合状況が変わっていく中で判断しています。そういうプレーが、(その後の)ダイナミックなプレーや強いゲインとかのプレーにも繋がっていると思う。日本代表では、オフザボールでの努力とかに取り組んできた。そこはフィットネスや80分間プレーが出来るように練習を続けてきたので、自信持ってやっています。今日は、選手1人ひとりがフィットネスとか速さとかフットワークで頑張っているのが良かった」
昨季7シーズンぶりの日本一を果たした神戸Sでのコーチングで、より組織として動くことを求められた影響もあるのだろうが、ブルア自身も口にした「オフザボール」での高い意識が、代表で醸成されているのは間違いないだろう。ブルアの代表でのプレーぶりを見ると、自分の強靭なフィジカルを武器にボールを「もらう側」だった走り屋が、その強さをボールの「繋ぎ役」として生かし、ピッチの上の15人が有機的に機能するために貢献しているのが判る。そんな意識を身に着け、判断材料にしながらプレーしているブルアの姿は、このチームの選手全員に求められる資質でもある。
結果や20-15というスコアをみれば、チームの成長を称えていいだろう。テストマッチで相手を20点以下に封じ込めるのは勝利の鉄則でもある。日本も世界9位(試合当時)相手にはここまで出来たという指針になる。だが、冒頭に書いたように厳しい見方をすれば、勝利や優勝という目に見える“勲章”は手にしたが、進化の度合いをみれば、まだ1歩前に出たに過ぎない。スコアを狙える状況までのお膳立ては出来てきたが、レシピ通りの料理には仕上げられていない。そんな進捗状況が、9月を終えた日本代表の置かれた立ち位置だ。いかに自分たちの攻撃をトライというフィニッシュまで持っていけるかが、11月の勝敗、そして1年後にどこまで勝ち上がれるかの鍵になる。
試合運びやプレースタイルの熟成に加えて、この9月のテストマッチを通じて印象に残ったのはメンバリングだ。来年のW杯の登録選手は33人。この人数を、代表資格を持つ、または持つだろう全ての選手が争うことになるが、3試合のメンバーからは、誰が1年後にオーストラリアの大地に立つのかも浮かび上がってくる。後編では、注目されるW杯戦士のセレクションについて考察する。
(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)
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