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世界8傑目前…エディージャパンは本当に強くなった? 9月3連勝、強敵フィジー撃破でも残る“最後の宿題”

22m突破回数と得点率から考える

 9月のテスト3試合を、敵陣22mラインを越えた回数による得点率(1回の侵入で平均何点を取れたかの数値)を見てみたい。

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【22m突破回数(得点率)】

○カナダ戦(57-12)
日本:12(5.2)
カナダ:9(1.5)

○アメリカ戦(63-14)
日本:17(3.3)
アメリカ:7(1.7)

○フィジー戦(20-15)
日本:9(2.2)
フィジー:4(3.0)

(参考)
○9.12南アフリカvs NZ
南ア:13(3.0)
NZ:7(4.0)

 このレッドゾーンでの得点率は、ゲームを物語る数値としては不確かな要素も含んでいる。極端な例を挙げれば、PGでスコアするゲームプランのチームが、全ての得点を22mラインより外側からのキックで挙げれば得点率は0だ。同じ対戦カードでも、ディフェンシブなゲーム展開になれば当然得点率は下がる。だが、ゲームの中で、チームがどれくらい敵陣でスコアチャンスを作り出したか、そのチャンスをスコアに結び付けたかの“目安”になる数値でもある。

「参考」として、フィジー戦1週間前に行われた南アフリカーニュージーランドのスタッツを付け加えている。強豪国同士のゲームとの比較のためだ。概ねスコアと得点率は比例していて数値的には大きな隔たりはないのだが、強豪国の試合では、日本―フィジーのような勝者が得点率「2.2」という数字はあまりない。所謂トップネーションズが、低い得点率で勝利した場合でも、せいぜい2点台後半というのが相場で、概ね3点以上はマークしている。後にも紹介するように、宿敵を倒せた一方で、日本は攻撃のスタイルを確立しつつある中でも“仕留める力”の不十分さを数値が物語る。

 遂行力の低さは、実は力の差が歴然だったカナダ(試合当時世界ランク24位)との対戦でも見られた。相手のキックオフからCTB廣瀬雄也(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)の鮮やかなラインブレークなどで敵陣ゴール前まで攻め込みながら、反則でトライチャンスを逃すと、直後の敵陣22m手前の左オープンも、イージーなハンドリングエラーに終わっている。立ち上がりの時間帯で選手間の連携の不安定さも影響したが、齋藤主将は試合後の会見でこんなゲーム評価をしている。

「まだ若いチームが勝利出来たことは一つ自信になります。ただ、快勝だとは思っていません。まだまだ突き詰めることが出来るところがある。試合中の適応力(の低さ)というところは、キャプテンとしても、いち選手としても感じています。今日であればペナルティーだったり、レフェリーとのコミュニケーション、カナダ防御のかなり速い出足に対しての適応も出来ていなかった」

 キャプテンの厳しめの振り返りから、さらに踏み込んだチームの現状を指摘したのは、途中出場した同じSHの福田健太(栃木ホンダヒート)だった。

「スコアだけ見れば点差は大きく離れていたかも知れないが、(敵陣)22mライン突破は出来ていたのに、スコアはあまり出来なかった。この遂行力の低さは、細かいミスによるものが多い。じゃあ、ティア1のチームと対戦した時に、どれだけ遂行力を持って戦えるかと考えると、やはり課題がありますね。この試合では、皆が(空いている)スペースがしっかりと見えていたはずで、そこはポジティブなところです。でも、そこに無理矢理一発でボールを運んでしまおうとしたことで、丁寧さを欠いてしまったと思います。前に出られるという気持ちが、結局自分たちにプレッシャーを掛けてしまった。見えていたスペースに、どうやってボールをしっかりと運べるかというところが出来なかった」

 茗渓学園高―明治大、そしてリーグワンとクレバーな選手として知られる福田らしいコメントだが、同じように遂行力を課題に挙げたFLティアナン・コストリー(コベルコ神戸スティーラーズ)は「ペナルティーの数を減らさないといけないし、ボールをターンオーバーされる回数も多かった。そして遂行力も足りなかった。ここを改善しないと目指している世界のトップ4という所には、なかなか手に入らないと思う」と指摘している。

 冒頭で紹介したフィジー戦直後の齋藤主将のコメントも、これからネーションズチャンピオンシップで挑む強豪国、そして1年後の真剣勝負を見据えれば、9月の遂行力では勝ち切れないという観点からのものなのは明らかだ。その一方で、加速度的とは言い難いがエディージャパンが一歩ずつ進化を遂げているのも間違いない。抽象的な言い回しになるが、全員がエディーの思い描く「2027年バージョン」の戦い方をイメージし、掴み始めている。とりわけ、この3連戦で印象付けられたのは、セットプレー、ブレークダウン周辺でのショートレンジでの攻撃の形の熟成と防御の改善だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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