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「小さいおにぎりとたくわん半切れで…」 中1で被災、体操着のまま逃げて避難所へ…熊本に願う「恩返しを」――長沼元

陸上の日本グランプリ(GP)シリーズ「Athlete Night Games in FUKUI(アスリートナイトゲームズ・イン・福井)」が14日から2日間、福井・9.98スタジアムで行われ、初日の男子やり投げでは長沼元(スズキ)が78メートル12をマーク。怪我を乗り越え優勝を手にした。岩手県陸前高田市出身の29歳は、中学1年生の時に東日本大震災で被災。7月28日に起きた熊本地震について「助けてもらった分は恩返しを」と思いを巡らせた。

男子やり投げで優勝した長沼元【写真:朝倉健/アフロスポーツ】
男子やり投げで優勝した長沼元【写真:朝倉健/アフロスポーツ】

「THE ANSWER 陸上PLUS|NEWS」 Athlete Night Games in FUKUI

 陸上の日本グランプリ(GP)シリーズ「Athlete Night Games in FUKUI(アスリートナイトゲームズ・イン・福井)」が14日から2日間、福井・9.98スタジアムで行われ、初日の男子やり投げでは長沼元(スズキ)が78メートル12をマーク。怪我を乗り越え優勝を手にした。岩手県陸前高田市出身の29歳は、中学1年生の時に東日本大震災で被災。7月28日に起きた熊本地震について「助けてもらった分は恩返しを」と思いを巡らせた。

 ありったけの力を乗せたやりが福井の夜空に伸びた。長沼は右手で構えて助走を開始。徐々に加速すると、179センチの全身をしならせて力強く投げ切った。やりは綺麗な放物線を描いて地面に突き刺る。この日一番のビッグスローとなり、長沼は安堵の表情を浮かべた。

 輝かしい結果とは裏腹に「痛みなく6投を投げ切ることが最低限の目標でした」と控えめな様子。昨年のアジア投てき選手権から怪我に悩まされていた。肩甲骨の「はまり」が悪くなり「水が溜まってしまったり、気づかないうちに悪化して苦労した」。今年6月の日本選手権では6位に終わり、「アジア大会に向けてやっていたので心が折れそうになった」と振り返る。

 それでも肩甲骨を安定させるトレーニングなどを地道に重ね、次第に回復。「ベストには遠いのですが、トレーナーやコーチら多くの人に支えられて色んな治療を試すことができた。それが今回形になったことが良かった」と前を向いた。

 支えてくれた人に向けた感謝の思いは競技に限らない。15年前の東日本大震災で被災した長沼は、今回の熊本地震について言及した。

「熊本の気持ちは痛いほど分かる。自分は中学1年生の時に被災して、ずっと避難所生活でした。小さいおにぎりとたくわん半切れとか。当時は、体操服と体操靴だけで逃げた。支援物資の服とかで自分は生きていけたので、助けてもらった分は恩返しをしていけたら。募金とか自分にできることは小さいと思いますが力になりたい」

 今後は2028年のロス五輪を目指す。「その時は31歳になりますが、30代中盤でベストを投げる選手がいる。体次第ではありますが、そこを目指せたら一番いいです。怪我した肩甲骨も安定させていく。若手も今はすごく出てきているので、このままではなく上に上にじゃないと」と視線を世界に向けた。

(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)



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