県内No.1進学校から100m高校日本一に 「シズコウ」に2年生逸材…勉強も陸上も「100%で」――静岡・松下碩斗
活況の男子スプリント界に、また一人楽しみな逸材が現れた。男子100メートルを制したのは2年生の松下碩斗(静岡)。県内No.1の進学校、通称「静高(しずこう)」で文武両道に励みながら、「高校No.1スプリンター」の称号を射止めた。日本一になった直後も、自分の走り、自分の性格、そして目指す選手像を驚くほど冷静に見つめていた。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

「THE ANSWER 陸上PLUS|STORY」 滋賀インターハイ・平和堂HATOスタジアム(7/30~8/5)
活況の男子スプリント界に、また一人楽しみな逸材が現れた。男子100メートルを制したのは2年生の松下碩斗(静岡)。県内No.1の進学校、通称「静高(しずこう)」で文武両道に励みながら、「高校No.1スプリンター」の称号を射止めた。日本一になった直後も、自分の走り、自分の性格、そして目指す選手像を驚くほど冷静に見つめていた。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)
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午後9時40分。今年の「高校日本最速男」の突き上げた右拳がカクテル光線に光った。
大会3日目の男子100メートル決勝。8人のうち6人が3年生。2年生の松下は、目の前にまっすぐ100メートル伸びる自分のレーンだけに集中していた。最速のリアクションタイム0秒128で飛び出す。中盤から大きなストライドでさらに加速。接戦になっても、視界に入らない。最後に胸を突き出した瞬間、初めて気付いた。「あ、勝ったのかな」。思わず右手が挙がった。
10秒27(追い風0.7メートル)の自己ベスト。
「それ以上に、こんなに素晴らしい選手たちと一緒に走って競り勝てた。なんと言ったらいいか……納得の結果ですし、今までの試合でもトップクラスに良い走りができたなという感想です」
予選から1本ずつ精度を上げ、3本目の決勝で会心の走りをそろえた。「ナイトレースで明かりも強くて、いつもと違う感じ。観客の応援も物凄く熱くて、それに押されて走れた」。初めて味わうような大声援さえ力に変えた。
ただ、高校日本一になっても浮ついたところはない。
近年の男子スプリント界は活況を呈している。高校3年生世代には、昨年のインターハイで高校日本記録10秒00をマークした清水空跳(星稜)、高校歴代4位の10秒16を持つ菅野翔唯(東農大二)がいる。2人は開催時期が近いU20世界選手権(オレゴン)に出場するため今大会は不在だった。
松下は「清水選手、菅野選手は僕よりも全然上にいる存在」と率直に認める。
「一緒に走ってみたい気持ちはあるけど、まだ実力的には全然及ばない。秋に一緒に走る機会があるのかもしれないので、そこに向けて少しでも近くで走れるように練習を積んでいきたい」と、優勝の余韻に浸るより、次に埋めるべき差を見ていた。
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