世界8位に3点差…ラグビー日本は強くなったのか 「俺のせいで…」残り15秒、リーチの悔恨と芽吹く希望
大塚、上ノ坊、植田…止まらない若手の躍進
そんな課題を露呈しながらも3点差の接戦に持ち込めた理由の一つは、ワラビーズも驚く程のハンドリングミスなどでスコアチャンスを逸していたことだ。ここは、真冬の母国から来て、キックオフ時点でも30度近い暑さと湿気の影響は間違いなくあったはずだが、このスキルの不安定さが今週のホームゲームでどこまで修正できるかも、第2戦のキーポイントになる。
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今回の真夏の決戦は、ささやかだが“異変”が起きていた。開始12分。日本代表が、この試合初めて敵陣22mライン内に攻め込んだチャンスだった。ラックからボールを受けたSO伊藤龍之介(明治大4年)に迷いはなかった。
「この試合、すごく自分で仕掛けるということをテーマにしていたので、トライまでいけてすごく嬉しいです」
相手のマークに立つのはNo8ハリー・ウィルソン。ワラビーズを率いるスキッパーと大学4年生の勝負だったが、そこはミスマッチとなるFWプレーヤー。鋭い切れ味のステップでウィルソンの内側を突いて、相手のウィークショルダー(タックルの強度が弱い側の肩とサイド)を抜き去り、左右からカバーしてきた防御も突破してインゴールへ飛び込んだ。
代表4キャップ目の若武者にとっては、代表初トライを見事な個人技で決めたビッグプレーだが、それ以上に世界トップ10クラスのティア1チーム相手のテストマッチで、日本が先制得点を奪ったのは、今季はアイルランド戦以来2度目。昨季もティア1“ボーダークラス”のフィジー戦1試合のみだった。「超速ラグビー」を標榜するアタッキングチームとしては歯がゆいゲームが続く中で、この21歳が思い切りの良さで風穴を開けた。37歳のリーチが、こう振り返る。
「龍之介もまだ大学4年生だし、(大塚)壮二郎(関西学院大)も4年生。上ノ坊(駿介=コベルコ神戸スティーラーズ)だって去年4年生。よくやったと思います」
リーチが指摘するように、若手の躍進は敗戦の中でも止まらない。後半23分にピッチに立ったテスト4戦目の大塚は、敵陣ゴール前の密集戦から縦に前進して、残り2分で3点差に迫るワーナー主将のトライに繋げた。178cm、110kgのサイズは、今の時代では決して大型PRではないが、その頑強な肉体はフロントロー勢の中でも目を見張るものがある。トライこそなかったが、2戦目の上ノ坊も相手を翻弄するようなトリッキーなパスでBKラインを加速させると、23歳の植田和磨(神戸S)はテスト6戦目で待望の初トライ。ラックからの攻撃で、深い位置に立った伊藤の背後に隠れるような相手防御から見えにくいポジショニングでパスを受けてのフィニッシュだった。
そんな若手台頭の中で、リーチほどの大ベテランも自己変容に迫られている。
「世界一の20番になりたい」
そんな発言をしたのは、7月のフランス戦の後だった。2008年に東海大2年生で代表入りしてから今季で19シーズン。常に桜のジャージーの先頭に立ち、チームの中心選手として君臨し続けてきた男が、2桁の背番号を目指す――。そう発言した真意はさておき、今季開幕からワラビーズ戦まで4試合連続で、発言通り「20番」でプレーを続ける。これが現実だ。
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