U18世界最高の先に…名将が見据える「もっと凄い記録」 専門種目400mHの練習は敢えてしない“謎”――洛南・後藤大樹
日本陸上界に現れた新世代の逸材が世界に挑んでいる。U20ユージーン世界陸上で9日(日本時間10日)に行われた男子400mハードルで17歳・後藤大樹(洛南高2年)が49秒23で銀メダルを獲得した。今年6月の日本選手権で高校2年生ながら優勝し、U18世界最高記録も叩き出したハードラーの凄さとは――。多くの名選手を輩出した洛南高で指導する名伯楽・柴田博之監督の証言から迫る。(全4回の第4回、取材・文=寺田 辰朗)

「THE ANSWER 陸上PLUS|INSIGHT」 U18世界最高記録…洛南・後藤大樹の肖像Vol.4
日本陸上界に現れた新世代の逸材が世界に挑んでいる。U20ユージーン世界陸上で9日(日本時間10日)に行われた男子400mハードルで17歳・後藤大樹(洛南高2年)が49秒23で銀メダルを獲得した。今年6月の日本選手権で高校2年生ながら優勝し、U18世界最高記録も叩き出したハードラーの凄さとは――。多くの名選手を輩出した洛南高で指導する名伯楽・柴田博之監督の証言から迫る。(全4回の第4回、取材・文=寺田 辰朗)
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後藤が他種目にも出場しているのは、どんな理由からなのだろうか。200mに関しては、後藤自身が「200mが好き」とコメントしている。柴田監督としては「400mハードルに染まると足が遅くなる」と考えているからだ。この意見は「私見ですし偏見かもしれません」と柴田監督は言うが、他の指導者や選手からも何度か聞いたことがある。ハードル間を13~15歩で走るためにストライドを広げることで、極端に言うと(ポーン、ポーンと弾みながら走る)テンポ走のような走りになってしまう。“思い切り走る”走り方とは違ってきてしまうのだ。
「フィニッシュして出し切っていません、という走りではなく、倒れるくらいに出し切らせたい」。それが柴田監督が目指す400mハードルで、そのためには短距離種目のような走り方を400mハードルに持ち込みたい。日本選手権の後半で見せた、「ハードル間の15歩をしっかり刻んで、地面に力を伝わっている走り」を、より進化させていく。13歩と大きめのストライドで走る5台目までも、「15歩のリズムで行けたらいいよね」と1年時の終わりに後藤と話し、昨年までの10台全て15歩から前半を13歩に変更した。
後藤がその進化の可能性を、改めて示したのが日本選手権1か月後の京都府選手権200mだった。【Vol.1】で紹介したように、20秒43(-1.0)の高校歴代3位で走って見せた。どうしてそこまでスピードを出せるのか。柴田監督は「200mのリズムが一番、後藤に合っているのかもしれません。100mは短くて、400mでは長くてキツい。200mなら後藤の特徴である動きの大きさが最後まで崩れません。リズム的にも性格的にも、一番気持ち良く最後まで走り切れるのだと思います」
スプリントの動きとしては「桐生のような、100mに強い選手が持つキレがあるわけではありませんが、下肢がしなやかに動くこと」が特徴だという。“しなやか”という表現をすると、力を必要としない動きと受け取られがちだが、「陸上競技にパワーは大前提。そのために日々、練習をしている」と柴田監督。「視覚的にあたかも、パワーを使っていないような動きができる数少ない選手なんです」と、後藤の特徴を挙げる。
中学時代の110mハードルでは【Vol.3】で紹介したように、「しなやかさよりも力強さがクローズアップされた動き」だった。それが400mハードルや200mでは、しなやかな動きになっている。柴田監督が110mハードルを勧めなかったのは、後藤の動きの特徴を見極めた結果でもある。
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