400mHの素人だから「U18世界最高を出せた」 偉業のウラに意外な分析…洛南で名伯楽に鍛えられた「脳」――洛南・後藤大樹
後半に強さ 5台目からのタイムは47秒台の為末・成迫・豊田より速い
柴田監督は“理想を追い求めた素人”らしさとして、ハードル間歩数で14歩を使わなかったことを挙げる。後藤は1~5台はトップ選手と同じ13歩で走る。ハードル間歩数が奇数であれば、利き脚で踏み切り続けられる。多くのトップ選手が5台目を過ぎると14歩を2台使い、6台目を逆脚で踏み切り、7台目で利き脚に戻す。残りの8~10台目を15歩で走る。
【注目】「この体重でも跳べるんだ」 月経異常や骨密度低下を経験、引退後に気づいた数字に縛られない体作り(W-ANS ACADEMYへ)
後藤レベルの能力を見た指導者なら13歩、14歩、15歩で走らせようと考えるのが普通だが、柴田監督はそうしなかった。「一度、静岡国際(5月3日、50秒42)で試したのですが、後藤はしっくりしないと言っていて、次の木南記念(5月10日、49秒34)で後藤から『13歩・15歩でやります』と言ってきました。14歩を挟まずいきなり15歩へ切り換える。トップ選手では誰もやっていないでしょうけど、私は彼が15歩で刻んで走る速さを見てきたので、後藤の希望通りに走らせました」
この後半に、今の後藤の強さがある。過去に47秒台を出した日本人3選手とハードル1台毎の通過タイムを比較すると、前半は同じ13歩でも超前半型の為末大(47秒89)より5台目通過で0.5~0.6秒遅い。だが他の2人(47秒93の成迫健児と47秒99の豊田兼)とは0.3~0.4秒にとどめている。そして5台目からフィニッシュまでのタイムは後藤の方が、47秒台の3人よりも速い。
洛南高で徹底して行うミニハードルを使った練習で、後藤が良い動きができることも柴田監督の判断材料だった。日本選手権でも「5台目を越えたら練習のミニハードルを200mやるつもりで行こう」とアドバイスした。
このミニハードルは後藤専用のメニューではなく、洛南高チーム全員が行う。接地するポイントを意識しやすく、キック脚を素早く前方に戻す動きのトレーニングにもなる。それらの動きができれば地面からの反発を、前方に跳び出す動きに変換しやすくなる。走ることだけでなく、陸上競技全般に必要な弾む動作が素早くできるようになるメニューだ。
洛南高では短距離、中・長距離、ハードル、跳躍と多くの種目で毎年、日本トップレベルの高校生が育つ。インターハイ総合優勝は史上最多の13回を誇る(8月5日に終了した今年のインターハイは、U20世界陸上に遠征中の後藤不在のメンバーで総合2位以下を圧倒した)。その中から桐生や後藤、藤原、1500m&5000mの佐藤圭汰(Swoosh TC)、3000m障害五輪&世界陸上入賞者の三浦龍司(SUBARU)など、高校生で突出した記録を出す選手が育った。さらには1人の選手が、異なる種目でトップレベルに成長するのも、陸上競技の原理原則を抑えたトレーニングをしている証だろう。後藤は400mHと200mで、藤原は走幅跳と110mHで高校トップレベルに成長した。
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)









