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「こっちは大丈夫だから」震災熊本から届いたLINE 吉報届けるはずが…「決めないといけなかった」泣き崩れた最後の夏――大津・山本翼

全国高校サッカーインターハイ(総体)は7月31日、男子サッカーの準決勝が福島県で行われ、前回準優勝の大津(熊本)が静岡学園(静岡)に0-1で敗れ、2大会連続での決勝進出を逃した。山本翼(3年)は試合後、人目をはばからず号泣。10番としての役割を果たせず自責の念に駆られていた。

全国高校サッカーインターハイ準決勝に出場した、大津の山本翼(10番)【写真:橋本啓】
全国高校サッカーインターハイ準決勝に出場した、大津の山本翼(10番)【写真:橋本啓】

高校サッカーインターハイ準決勝

 全国高校サッカーインターハイ(総体)は7月31日、男子サッカーの準決勝が福島県で行われ、前回準優勝の大津(熊本)が静岡学園(静岡)に0-1で敗れ、2大会連続での決勝進出を逃した。山本翼(3年)は試合後、人目をはばからず号泣。10番としての役割を果たせず自責の念に駆られていた。

 高校最後の夏が終わった。

 歓喜に沸く静岡学園イレブンの横で、山本は地面へ崩れ落ち、顔を伏せたまましばらく動けなかった。3位の表彰式では目を真っ赤に腫らしながら整列。表彰後にスタンドへ挨拶すると、膝に手をつきもう片方の手で顔を押さえた。悔しさだけが込み上げる。しばらく動けず、チームメートに促されながらその場を後にした。

 大津の戦いぶりは敵将の川口修監督が「1人1人の技術がすごくしっかりしている。奪いに行っても奪えない」と唸ったほど。山本はキープ力と突破力を発揮してゴールへと迫る。相手の守備陣からすれば厄介な存在に映ったはずだ。

 ただ、1点が遠かった。「自分の特徴を出せなかった」。山本からはやりきれない表情がのぞく。仲間たちと約束したのは「元気や勇気を熊本の人たちに届ける」。最大震度7の地震が襲ってから4日、今なお続く懸命な捜索・救出活動。猛暑の中で避難生活を送る人々の姿が宿舎のテレビに映るニュースで伝わってくる。

「自分たちが日常を送ってきた場所に地震が起きて、たくさんの人が苦しい思いをしている。それでもLINEには『頑張ってね』って送ってくれて勇気をもらった。勝って結果で示さないといけないなって思っていた部分があったから、恩返しできなかったのは悔しいです」

 実家は熊本の芦北町にあり、身内の無事は確認できた。LINEには友達だけでなく、両親、祖父母からもメッセージが届いた。「こっちは大丈夫だから」。その一言に安堵したが、熊本が甚大な被害にあっている事実は変わらない。「自分たちがサッカーができるのは決して当たり前じゃない。感謝しないといけない」と戒めて臨んだ準決勝。山本には無念の思いを強くしたプレーがある。

「最後のフリーキック(FK)でちょっとふかしてしまって、あそこで点を決める、決めないといけなかったと思う」。後半アディショナルタイムの場面。ゴールほぼ正面で得たFKは同点へのラストチャンスだった。右足で狙ったシュートは大きく枠を越えていく。直後に終了のホイッスルが鳴った。

 悔やんでも悔やみきれない表情を浮かべ、うつむいた山本。脳裏には残像が蘇る。試合直後、ピッチで誰よりも感情を露わにした理由の1つはそこにあった。

 10番を背負った夏が終わった。だが、戦いは続く。視線の先にあるのは冬の高校選手権。「また一から頑張っていきたいと思っています」。あと一歩で逃した決勝の舞台。そして叶わなかった熊本への恩返し。様々な思いを抱えて、次のステージへと歩み出す。

(THE ANSWER編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)

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