主将が緊急離脱の大ピンチ 苦境のサッカー名門校、手首に“団結の印”で機運「絶対日本一取れる」――静岡学園・沢井翼

頼れるキャプテンが離脱「ショックだった」
圧倒的な攻撃力を武器に優勝候補に連ねる名門も、今大会では苦境に晒された。10番を背負う松永悠輝(3年)、2年生ボランチ杉ノ原芽生の主力2選手が負傷で不在に。さらに激震が走ったのがキャプテンの足立羽琉(3年)の緊急離脱。初戦の大分戦で右足首を負傷。プレーが困難なほどの重傷を負った。
頼れるキャプテンだった足立の離脱に、沢井も「ショックだった」と動揺を隠せなかった。「足立はチームの心臓ですし、松永も苦しい状況でいい仕事をしてくれる。その2人がいないのはやっぱり難しい」。ただ、主力3人を欠くアクシデントは、裏を返せば一致団結のチャンスにもなる。
「主力3人がいないっていうことを理由に負けたくないし、自分はそうしたくない」。強い決意を秘めて戦った沢井。両手首に巻かれたテーピングには足立の背番号7と松永の10番の文字があった。「全員で付けよう」。保延昭良(3年)の発案からピッチに立つ選手の手首には“団結の印”が現れた。
「怪我人が出て、チーム状況的に難しかった。でも逆によりチームが1つにまとまったっていうのもあります」(沢井)。苦境でもピッチ上で息づいていたのは選手各々による「俺がやってやろう」といった意気込み。1人1人が最後まで諦めず、必死にボールに食らいつく。終盤、怒涛の攻撃を仕掛けて遂に逆転。ゴール前で泥臭く決めた佐野の得点は「まだいける」と戦っていたチームの思いが宿っていたようでもあった。
川口監督は「正直、想定以上のパフォーマンスを発揮してくれている」と目を丸くしながら称えた。「これもやっぱり日頃の練習の成果。真面目にこの子たちは努力し続けている。それを見てきているので。こういうチームっていうのは、こうやって苦しいゲームをものにするんだなって、そういう実感はすごくあります」。日頃の鍛錬を実らせた選手たちへ思いを馳せた。
「負傷者がいるんですけど、このチームで絶対日本一を取れると思っている。あんまりそこ(主力3人の不在は)は気にはしていない」。目線をまっすぐに、力強く言い放つ沢井にはすっかり自信がみなぎっていた。サッカー王国・静岡の名門が果たした快進撃は、まだまだ終わらない。
(THE ANSWER編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)
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