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隠さぬ弱音と隠せぬ勝気「人間・田中佑美を見て」 モデルもこなすハードラーが世界の壁で思う「走る意味」

子供たちと笑顔で記念撮影する陸上女子100m障害の田中佑美【写真:上田悠太】
子供たちと笑顔で記念撮影する陸上女子100m障害の田中佑美【写真:上田悠太】

宝塚歌劇団に憧れた学生時代、それでも陸上を選んだ理由

 もともと中学から陸上を始めた。習っていたクラシックバレエと両立できるとの理由だった。「かなり消極的な感じで」と当時を振り返る。宝塚歌劇団に憧れ、高校卒業後の進路として考えた時期もあった。それでも結局、選んだのは陸上だった。「性に合っていて」と走り続ける。五輪1度、世界選手権2度の舞台に立ってきた。

「走る意味」を考えながら、日々を過ごす。27年世界選手権北京大会の女子100メートル障害の参加標準記録は12秒60。自己ベストを0秒20も速い。簡単な数字ではない。3大会連続の世界選手権出場へは、参加標準記録をクリアする以外には、世界ランキングを上げる必要がある。そのためには、高いポイントを得られる大会で結果を積み重ねていかなければならない。その中でも「その試合が楽しいかも、レース選びの基準にしたい」と話す。

 世界の壁は分厚い。さらに未踏の領域である世界大会の決勝となれば、なおさらだ。だからこそ立ち向かう過程を大事にする。決して諦めではない。少し割り切った境地で、たくさんの「楽しさ」を見出す。

「(世界大会に)出たい。でも、そのために走っているんじゃない。やっぱり自分に結果は求めてしまう。でも、そのためだけには走らない。速くなりたいから走る。自分が何が楽しいのか、何をしたいのかを理解する」

 そう胸中を言葉にした。そして最後に、らしく笑った。「じゃないとやっていられないので。分かりますか? この感じ」と“弱音”を付け足した。

 同時に「自分に負けたくないのが一番かもしれないですね」とも言う。追い求める「楽しさ」と、本能にある「負けず嫌い」を掛け合わせ、己を突き動かすエネルギーを最大化する。

 隠さぬ弱音と隠せぬ勝気。その相反する思いに、人間味がにじみ出る。走りながら、田中佑美の生きざまを表現していく。

(THE ANSWER編集部・上田 悠太 / Yuta Ueda)



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