雨でも設営しやすく、ソロテントなのに荷物も置きやすい ZEROGRAMがあえて44g増量したワケ
ZEROGRAM「El Chalten UL 1P+」は、従来の1人用モデルからわずか44g増で居住空間を拡張。一体型設営、結露対策、荷物を置ける室内幅など、軽さだけを追わなかった設計を紹介します。

El Chalten UL 1P+は、「軽さだけ」を追わず、ソロテントで感じる“あと少し”の不便を減らす方向に広げたモデル。
- ・フライ、インナー、フットプリントを一体化し、設営・撤収の手間を減らす構造
- ・スリーピングパッド横にバックパックを置けるよう、従来1Pよりフロア幅を15cm拡張
- ・サイズを広げながら、最小重量の増加はわずか44gに抑えた
荷物を背負って山を歩くなら、テントは少しでも軽い方が助かります。一方、1人用の軽量テントでは、「荷物を置くと狭い」「もう少し中で動きやすければ」と感じる場面もありそうです。
軽量化を優先すれば、スペースや装備を削るという考え方もあります。
ZEROGRAM(ゼログラム)が2026年8月に発売した「El Chalten UL 1P+(エルチャルテン UL 1P+)」は、その逆方向からソロテントの使い勝手を見直しました。
従来の「El Chalten 1P ZEROBONE」と比べ、フロア幅は15cm、天井幅は13cm、高さは4cm、前室はそれぞれ10cm拡張。それでも最小重量の増加は44gに抑えています。
さらに、El Chaltenシリーズが採用してきた一体型の設営構造や、結露による不快感を抑えるための素材、長辺両側の出入口といった特徴も受け継いでいます。
軽量テントなのに、なぜあえて大きくしたのでしょうか。メーカーが公開している情報から、その設計を見ていきます。

雨の中でも設営しやすい? フライ・インナー・フットプリントを一体化した構造
テント泊では、設営そのものも一つの作業です。特に天候が崩れているときは、できるだけ手順を増やしたくないところです。
El Chaltenシリーズの大きな特徴が、フライ、インナーテント、フットプリントを連結したまま一度に設営できる一体型構造です。
El Chalten UL 1P+でもこの構造を継承。ZEROGRAMは、吊り下げ式の一体型構造によって、設営と撤収をスピーディーに行えると説明しています。
El Chaltenは、ダブルウォールテントでありながら、フライ、インナー、フットプリントを別々に組み上げるのではなく、連結した状態から設営できるのが特徴です。ZEROGRAMは悪天候下や稜線での使いやすさも、このシリーズで重視してきました。
El Chaltenシリーズは2014年の初代から、バックパッカーが感じるストレスをできるだけ減らすことを意識して開発されてきました。
ZEROGRAMは過去の1人用モデルの開発でも、「設営しやすさ」「悪天候時の安定性」「使い勝手」と軽量性のバランスを追求してきたと説明しています。
単に本体重量を軽くするだけでなく、山でテントを張ったり撤収したりする工程まで含めて負担を減らそうとしていることが、El Chaltenの設計の一つの特徴です。
結露による不快感をどう減らす? 構造とモノフィラメント素材の両方から対策
テント泊で避けることが難しいのが結露です。
ZEROGRAM自身も、気温や湿度、地面の状態、テント内外の温度差などによって発生する自然現象のため、結露そのものを完全になくすことはできないと説明しています。
そのうえでEl Chalten UL 1P+では、結露をなくすのではなく、「結露による不快感を限りなくゼロにする」という考え方から、構造と素材の両面で対策しています。
一つは吊り下げ式のダブルウォール構造です。フライとインナーテントの間に空間を設けることで、インナーテントが外気温の影響を直接受けにくい構造にしています。
もう一つが、インナーテントの壁面とベンチレーションに使われている「モノフィラメント」です。
1本の繊維から作られる単繊維です。ZEROGRAMによると、テントのインナー生地として使うことで、メッシュのような通気性を持ちながら水分を保持しにくく、室内の湿気を外へ逃がしつつ、フライ側で発生した水滴による不快感を抑える役割があります。
さらに、開閉できるベンチレーションを2か所装備。ベンチレーション部分にもモノフィラメントを使い、湿気を外へ逃がすことで、フライ内側に発生する結露量そのものを抑える設計です。
ZEROGRAMが使う「結露ほぼゼロ」という表現は、モノフィラメントを使用したインナーテント内側で結露がほぼ発生しない状態を指します。気象条件にかかわらずテント全体に結露が発生しないという意味ではありません。
モノフィラメント自体も防水素材ではなく、圧力がかかれば水を通すとメーカーは説明しています。性能を理解するときは、「結露を完全になくす素材」ではなく、湿気や水滴による室内の不快感を抑えるための素材と考えるのがよさそうです。
ソロテントなのに荷物も置きやすい フロア幅を15cm広げた“あと少し”の余裕
El Chalten UL 1P+で最も分かりやすく変わったのが、居住空間です。
従来のEl Chalten 1P ZEROBONEは、インナーサイズが長さ210cm×幅80cm×高さ96cmでした。
1P+では長さ210cmを維持しながら、幅を95cm、高さを100cmへ拡張しています。
メーカーによる比較では、フロア幅が15cm、天井幅が13cm、高さが4cm、前室がそれぞれ10cm広くなりました。
ZEROGRAMは、スリーピングパッドの横にバックパックを置ける室内幅を確保したと説明しています。寝るためのスペースだけでなく、テント内での着替えや荷物整理のしやすさまで含めて居住空間を見直しました。
ポイントは、床だけを横方向に広げたわけではないことです。
天井幅も13cm広げ、メーカーはテント内での動きやすさを高める狙いを説明しています。さらに前室も広げることで、室内だけでなくテント周辺の収納や使い方にも余裕を持たせています。
ZEROGRAMが開発背景として挙げているのは、「1人用では少し狭い。でも1.5人用までは必要ない」というハイカーの“あと少し”です。
1P+は、より大きなテントへサイズアップするのではなく、1人用の軽さを維持しながら、その間を埋めることを狙ったモデルです。

なぜ1人用なのに出入口が2つ? 軽量化だけでは削らなかったEl Chaltenらしさ
El Chalten UL 1P+には、長辺の両側に出入口と前室がそれぞれ2か所あります。
しかも1P+では、インナーテントの出入口を大きく開くC型に変更。開いた生地は、その都度トグルで留めるのではなく「クイックポケット」に入れる仕組みです。
1人用なら、入口を一つにして構造を簡素化する方法も考えられます。
実際、ZEROGRAMは従来のEl Chalten 1P ZEROBONEを開発する際、軽量化のために出入口を片側だけにした試作まで行っています。
それでも最終的には2つ残しました。
メーカーによると、風向きに合わせて両方の入口を使えることや、稜線で両側を開いたときの開放感を「El Chaltenらしさ」と判断したためです。
従来1Pの開発では、ポール形状、フライの面積、生地、出入口の数などを含めて軽量化が検討されました。その中でも、機動力を高める長辺両側の出入口は残されています。
1P+ではさらにその出入口を大きなC型へ変更しています。
重量を減らせる可能性だけを見るのではなく、山での出入りや開放感も含めて何を残すかを決める。この考え方は、El Chaltenシリーズの設計を理解するうえで重要なポイントです。

軽量テントなのに、なぜあえて44g増量? ZEROGRAMが“削らなかった”快適性
El Chalten UL 1P+の最小重量は1,180gです。
従来のEl Chalten 1P ZEROBONEは1,136gだったため、その差は44gです。
数字だけを見れば、新モデルは重くなっています。
しかし、その44gと引き換えに、フロア幅は15cm、天井幅は13cm、高さは4cm、前室は10cm拡張されました。スリーピングパッド横にバックパックを置ける空間も生まれています。
一方で、設営のしやすさ、結露対策、長辺両側の出入口といったEl Chaltenシリーズの特徴は維持しています。
サイズアップによる重量増を抑えるため、フライには10デニールのナイロンリップストップ生地を採用。ZEROGRAMは、従来モデルと比べた重量増を44gに抑えながら、耐候性や安定性も同等の性能を確保したと説明しています。
フライ生地を10Dへ変更して軽量化しながら、ハブ仕様の2本のメインポールとリッジポールでテントを均等に吊り上げる構造を採用。フライを地面近くまで覆う形状とし、風雨の吹き込みを抑える設計です。
ZEROGRAMはブランドとして、軽量性を単なる物理的な重量だけでは捉えていません。
同社は「ライトバックパッカーがストレスフリーで前に進めること」を重視し、ロングトレイルを移動するハイカーのストレスをできるだけゼロに近づけることをギア開発の考え方として掲げています。
そう考えると、1P+の44g増は単なる大型化ではありません。
寝る場所だけを確保するのではなく、荷物を置く、着替える、出入りする、設営する、結露による不快感を抑える。そうしたテント泊中の細かな使い勝手を残しながら、重量増をどこまで小さくできるか。
El Chalten UL 1P+は、軽量性だけに数字を振り切るのではなく、メーカーが考える「軽さと快適性のバランス」を44gという差の中に収めたモデルと言えます。


El Chalten UL 1P+の主な製品情報
| 商品名 | El Chalten UL 1P+(エルチャルテン UL 1P+) |
|---|---|
| ブランド | ZEROGRAM(ゼログラム) |
| 用途 | 軽量ダブルウォールソロテント |
| シーズン | 通年 |
| インナーサイズ | 210(L)×95(W)×100(H)cm |
| 最小重量 | 1,180g(フライ、インナーテント、ポール) |
| パッキング重量 | 1,380g |
| フライ | N10D R/S Both Silicon Coated(耐水圧1,500mm) |
| インナー | N20D R/S Monofilament |
| フロア | N15D R/S Silicon/PU Coated |
| ポール | DAC NFL |
| 前室 | 2か所 |
| 出入口 | 2か所(C型) |
| ベンチレーション | 2か所 |
| その他 | ランタンフック1、シェルターモード可能、夜間視認性 |
| カラー | Niagara Mist |
| 価格 | 86,900円(税込) |
| 発売日 | 2026年8月7日 |
「軽さのために何を削る?」ではなく、“あと少し”を44gで埋めたEl Chalten UL 1P+
El Chalten UL 1P+を理解するうえで重要なのは、「従来モデルより44g重くなった」という数字だけではありません。
フライ、インナー、フットプリントを連結して設営の手間を減らす。ダブルウォール構造とモノフィラメントで結露による不快感に向き合う。1人用でも2つの出入口を残す。そして、バックパックを室内に置けるようフロアを15cm広げる。
それぞれは小さな工夫ですが、共通しているのは、テント泊で感じる「あと少し」の不便を減らそうとしていることです。
メーカーは、ZEROGRAMにとっての軽量性は単に物質的な意味だけに留まらないと説明しています。
「1人用は軽いけれど少し窮屈」「もう少し荷物を置く余裕がほしい」「軽量性は捨てたくない」。そんな間を埋めるため、必要な快適性を残しながら重量増を44gに抑えた。それがEl Chalten UL 1P+というソロテントの狙いです。
「El Chalten UL 1P+」ZEROGRAM公式商品ページ
「44gで変わるソロテントの快適性。ZEROGRAM、軽量ソロテント『El Chalten 1P+』を8月7日発売」(2026年8月4日発表)
ZEROGRAM「El Chalten UL 1P+」公式商品ページ
ZEROGRAM「El Chalten初のソロサイズ 開発背景」
【写真提供:株式会社ZEROGRAM】
(THE ANSWER編集部)
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