登山のレインウェアは蒸れが気になる…ミレー「ティフォン ノヴァ」が“通気”を加えた理由
雨は防ぎたいけれど、登山中のレインウェアの蒸れも気になる。ミレー「TYPHON NOVA」は、メンブレン自体にわずかな通気性を持たせた新しい防水透湿素材を採用。空孔率約80%の微多孔構造や耐久性など、分かりやすく紹介します。

TYPHON NOVAは、雨を防ぎながらウェア内の蒸れにも素早く対応することを目指したレインウェア。
- ・防水メンブレン自体にわずかな「通気性」
- ・着用直後から衣服内の湿気を排出する設計
- ・長期縦走などを想定し、耐摩耗性も強化
登山中に雨が降れば、レインウェアは身体を濡らさないために欠かせません。一方で、歩き続けて汗をかけば、今度はウェアの内側の蒸れが気になります。
「外からの雨は防ぎたい。でも、中にたまる湿気は外へ逃がしたい」。相反するように見えるこの課題に、ミレーが新しい素材から向き合ったのが「TYPHON NOVA(ティフォン ノヴァ)」です。
最大の特徴は、防水透湿メンブレンそのものにわずかな「通気性」を持たせたこと。何が新しいのか見ていきます。
雨は防ぎたい。でもレインウェアの中が蒸れる…どうした?
TYPHON NOVAの開発テーマは、ずばり「通気」です。
メーカーによると、従来のTYPHONメンブレンは無孔質構造で、衣服内の湿度が高まることで透湿が促進される仕組みでした。
一方、TYPHON NOVAでは、メンブレン自体にわずかな通気性を持たせています。常に通気が行われることで、着用した直後から衣服内の湿気を排出することを狙った設計です。
雨を防ぎながら湿気を外へ逃がす「防水透湿」に、メンブレン自体のわずかな「通気」を加えたこと。メーカーは、衣服内の湿度が急激に上がるような山行にも対応することを目指しています。

「防水透湿」と「通気」は何が違う?
言葉だけを見ると、「透湿」と「通気」は同じように感じるかもしれません。
TYPHON NOVAについてメーカーが強調している違いは、メンブレンの中を空気が行き来する構造になっていることです。
新しいメンブレンには、ミレーとして初めて延伸ポリプロピレンを採用。独自の「ドライストレッチ製法」によって、内部に多数の微細な空孔を作っています。
厚さはわずか18マイクロメートル。その中に約50ナノメートルの孔が何億個も均一に配置され、空孔率は約80%。この微細な孔を持つ構造によって、メーカーがいう「わずかな通気性」を実現しています。
メーカーは、完全防水でありながらメンブレン内を空気が行き来し、着用直後から感じられる「ヌケのよさ」を実現したと説明しています。
汗をかくような登山では、何が変わる?
メーカーがTYPHON NOVAで想定しているのは、行動強度が高く、衣服内の湿度が急激に上昇するような山行です。
従来のTYPHONが比較的穏やかな行動に適していたのに対し、TYPHON NOVAは常に通気が行われる構造によって、着用直後から透湿が始まると説明しています。
ジャケットにはメンブレンだけでなく、発汗時の換気効率を高めるための脇下止水ジップベンチレーションも配置されています。
メンブレンそのものの通気に加え、ジャケットには脇下のベンチレーションも用意。激しい発汗を伴う登山を想定して、湿気を逃がす仕組みを重ねています。
通気したら、寒い場所では冷えすぎない?
通気性が高ければ高いほどいい、という単純な設計ではありません。
メーカーは、通気性を持つ防水透湿メンブレンには寒冷地や強風下で寒さを感じやすいものもあると説明しています。
そこでTYPHON NOVAでは、寒冷な環境で冷えすぎないよう通気量を調整。氷点下環境でのラボテストでは、ポリプロピレン製メンブレンがポリウレタン製メンブレンより熱損失が少ないことを確認したとしています。
新素材のポリプロピレン自体も熱伝導率が低く、メーカーは寒冷地や高所でも外気の影響を受けにくい素材と説明しています。

レインウェアを長く使うと、素材の劣化はどうなる?
TYPHON NOVAで採用されたポリプロピレンには、もう一つメーカーが強調する特徴があります。
それが「加水分解しにくい」ことです。
メーカーによると、高温多湿な環境でも加水分解が起こりにくく、長期間にわたって性能を維持します。さらに素材自体が高い疎水性を持ち、湿ったり保水したりしにくいため、湿気や水分がメンブレン内部に滞留せず、外へ排出されると説明しています。
重いザックや岩との擦れに、表地は耐えられる?
TYPHON NOVAは、本格登山や長期縦走など、より厳しい環境での使用を想定しています。
生地は、60デニールの平織りナイロン表地と20デニールのナイロントリコット裏地でメンブレンを挟んだ3層構造です。
素材強度についてもテストを重ね、メーカーによると表地の耐摩耗性は「TYPHON ST」と比べて約150%に向上。特に、重いザックを背負った長時間行動を想定した強化です。
TYPHON NOVAは通気性を大きな特徴としながら、本格登山や長期縦走で使うことを考えて素材強度にも手を入れています。

TYPHON STやPHANTOMとは、どう使い分ける?
TYPHON NOVAの登場で、ミレーのTYPHONシリーズには3つの選択肢が揃いました。
メーカーは、それぞれの特徴と推奨する使用シーンを明確に分けています。
| TYPHON ST | しなやかさ、ストレッチ性能、着心地、防水性と透湿性のバランスを重視。登山・ハイキングや動きの大きなアクティビティなど幅広い用途を想定 |
|---|---|
| TYPHON PHANTOM | 極薄生地による着用感の少なさと軽量性を重視。トレイルランニング、ハイキング、低山歩きなどを想定 |
| TYPHON NOVA | 通気性による環境適応の速さ、長期にわたる素材耐久性、耐摩耗性を重視。高所登山、長期縦走、厳しい環境での使用を想定 |
つまり、TYPHON NOVAはシリーズの単純な上位版というより、メーカーが「通気性と耐久性」を軸に新たな役割を持たせた3本目の柱です。

TYPHON NOVA JKTの主な製品情報
| 商品名 | TYPHON NOVA JKT(ティフォン ノヴァ ジャケット) |
|---|---|
| ブランド | MILLET(ミレー) |
| 品番 | MIV02163 |
| 構造 | TYPHON NOVAメンブレン採用3レイヤー |
| 表地 | 60デニール平織りナイロン |
| 裏地 | 20デニール ナイロントリコット |
| サイズ | XXS~XL |
| 重量 | 390g(M) |
| カラー | 全2色 |
| 価格 | 49,500円(税込) |
「雨を防ぐ」と「蒸れを逃がす」を、素材から考え直した
レインウェアには、外からの雨を防ぐ役割があります。しかし登山では、自分の身体から生まれる汗や湿気にも向き合わなければなりません。
TYPHON NOVAでミレーが選んだのは、メンブレンそのものにわずかな通気性を持たせるという方法でした。
空孔率約80%の微多孔構造、加水分解しにくいポリプロピレン、寒冷地で冷えすぎないための通気量の調整、長期縦走を想定した耐摩耗性の強化。さらにジャケットには脇下のベンチレーションも備えています。
「雨は防ぎたい。でも、激しく動けばウェアの中は蒸れる」。その両方にどう対応するかを素材の段階から考えたことが、TYPHON NOVAの特徴です。
【写真提供:ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン株式会社】
(THE ANSWER編集部)
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