なぜ陸上は五輪の花形であり続けるのか 古代から「別格」…全選手の1/6を占める“スポーツの源流”
「THE ANSWER 陸上PLUS」は陸上競技の歴史・変遷を掘り下げ、その価値を問い直す新連載「荻島弘一の陸上クロニクル」をスタート。スポーツ新聞社で五輪を長年取材してきたスポーツライター・荻島弘一氏が執筆する。第1回は「陸上競技が『オリンピックの花形』である理由」をひも解く。

「THE ANSWER 陸上PLUS|COLUMN」 荻島弘一の陸上クロニクルVol.1
「THE ANSWER 陸上PLUS」は陸上競技の歴史・変遷を掘り下げ、その価値を問い直す新連載「荻島弘一の陸上クロニクル」をスタート。スポーツ新聞社で五輪を長年取材してきたスポーツライター・荻島弘一氏が執筆する。第1回は「陸上競技が『オリンピックの花形』である理由」をひも解く。
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オリンピックの花形競技と言えば、誰もが陸上を思い浮かべるだろう。大会の最後を飾るのがマラソンで、世界中が最も注目するのが100メートル。アジア大会など総合競技大会は、常に陸上競技を中心にプログラムが組まれている。
1896年の第1回アテネから全大会で行われているだけでなく、古代オリンピックでも最初の競技として「スタディオン走」と呼ばれる192メートルの短距離走が行われていた。陸上競技はオリンピックの歴史とともに、いや人類の歴史とともに歩んできたと言ってもいい。
オリンピックの中心というのは、種目数を見ても分かる。2024年パリ大会で実施されたのは男女と混合を合わせて48種目。競泳の37種目と比べても圧倒的に多い。大会全体で32競技で329種目だから、15%は陸上のメダルになる。参加選手数もパリ大会で1800人。大会全体の選手総数が1万500人だから、6人に1人が陸上の選手だったことになる。
陸上競技が「別格」なのは、その身近さや分かりやすさにある。特別な道具や装備は必要とせず、生身の人間がシンプルに能力の限界に挑む。より速く、より高く、より遠くに――。走り、跳び、投げる。誰もが簡単に挑むことができる。
「誰が一番足が速い?」。小学校の運動会では、ほとんどの学校で「短距離走」「かけっこ」が行われる。その頂点が100メートル走。誰もが経験したことのあるスポーツの最高峰だからこそ、その凄さが「体感」として伝わりやすい。
分かりやすさも圧倒的だ。スポーツだからルールはあるものの、極めてシンプル。真っ先にゴールすればいいし、遠くまで跳んだり、飛ばしたりすればいい。数字に表れる記録が単純だから、誰もが楽しめるし、感情移入もしやすい。
陸上競技を統括するのは国際団体は「ワールドアスレティックス」。前身の国際陸上競技連盟(IAAF)は1912年に創設されたが、当初はハンドボールやバスケットボール、バレーボールなど手で扱う球技の委員会もIAAF内にあった。陸上は「すべてのスポーツの源」でもある。
長い歴史と伝統の中で様々なドラマが生まれ、逸話を残してきた陸上競技。そんな「スポーツの源流」には、知れば知るほど魅力が詰まっている。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
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