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「10代の楽しい記憶」がエネルギーになる スケートに人生を懸けた高木美帆が中高生に伝えたいこと

多感な思春期を、トップアスリートたちはどんな思いを抱きながら駆け抜けたのか。キャリアを積み重ねた今だからこそ見える景色とは――。THE ANSWERが各競技を代表するアスリートたちの“原点”に迫るインタビュー連載「10代のジブンへ」。スポーツに勉強に一生懸命だった日々を振り返りながら、その後のキャリアにつながった経験、人生を変えた出会いや言葉などを思い起こし、今を生きる中高生アスリートにメッセージを送る。

高木美帆さんが10代のアスリートにメッセージを送った【写真:松橋晶子】
高木美帆さんが10代のアスリートにメッセージを送った【写真:松橋晶子】

連載「10代のジブンへ」第1回、高木美帆(スピードスケート)中編

 多感な思春期を、トップアスリートたちはどんな思いを抱きながら駆け抜けたのか。キャリアを積み重ねた今だからこそ見える景色とは――。THE ANSWERが各競技を代表するアスリートたちの“原点”に迫るインタビュー連載「10代のジブンへ」。スポーツに勉強に一生懸命だった日々を振り返りながら、その後のキャリアにつながった経験、人生を変えた出会いや言葉などを思い起こし、今を生きる中高生アスリートにメッセージを送る。

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 今年4月に現役引退を表明し、8月に国民栄誉賞を受賞したスピードスケートの高木美帆さんは、帯広南商業高校に通った3年間を「満喫できた」と振り返る。海外遠征を含めて競技に全力を注ぎながら、勉強にもしっかりと打ち込み、友人たちとはかけがえのない時間を過ごした。高校生として全力で青春時代を楽しんだからこそ、2014年ソチ五輪落選後の苦しい時期もエネルギー切れを起こすことなく全力で駆け抜けることができたという。(取材・文=二宮 寿朗)

 ◇ ◇ ◇

《2010年、日本スピードスケート界最年少の15歳でバンクーバー五輪に出場した高木美帆さんは、その年の4月、姉・菜那さんと同じ帯広南商業高校に進学する。学校生活とスピードスケートに費やす青春時代は、高木さんにとって何より充実した日々となった。ただ入学当初は戸惑ったことがあったという》

 南商は女子の多い学校で、私が入ったのも女子だけのクラス“女クラ”でした。中学の3年間は男子のなかに交じってサッカーをやっていましたから、話すのも遊ぶのも男子とばかりが多くなって女子の友だちがほとんどいなかったです。幼馴染の男の子が一緒のサッカー部だったので、そこでのつながりで広がったことも理由ではありました。別に自分が男子に見られたいとかじゃなくて、女子への接し方が分からない感じがちょっとあって……。

 そういうものが高校でだんだんなくなって、2年生の時も女クラになりました。担任の先生に聞いたら「混合クラスにすると女子の友だちが少なくなるかもしれないから、君は3年間女子クラスだ」と言われて、確かにそうだなって納得したんです。そのおかげで女子の友だちが増えていきました。

《高校ではスピードスケートのほかヒップホップダンスにも力を入れ、文化祭で披露している。勉学も疎かにしなかった。海外遠征の時もわざわざ教員に課題を出してもらい、教科書を持参して移動の飛行機でも勉強していたほどだ》

 ダンスは唯一趣味でできるものだったし、結果を追い求めるものでもなかったのでいいリフレッシュにはなっていました。スケートの部活だけじゃなくて、ダンスも遊びも勉強も全部、満喫したなとは思います。

 テスト前になると部活も1週間、休みになるんです。友だちと一緒にミスタードーナツとかモスバーガーに行って勉強するわけですけど、「真面目だよね」って言われてしまうタイプ。テスト前だからテスト勉強するのが普通だと思うのに、友だちは別にそこまで思っていないようで(笑)。いい点数を取りたいというより、見たことのある問題なのに解けないってなるのが最も嫌でした。だから一応、ちゃんと(範囲は)網羅しておこう、と。勉強でも中途半端にはやりたくなかったので、朝早く起きてやっていましたね。

 スケートをやっているから勉強ができないと言われるのが、性格的に嫌だというのもあったと思うんです。だから海外遠征に行こうが、そこを言い訳にはしたくなくて。競技と勉強を両立したほうが将来のためになるとかは別に考えていなくて、その時々の欲求に従っていたのかなとは感じます。やりたくない気持ちでやっても、それだとどうせ身につかない。だったらちゃんとやろう、と。そういう思いもちょっとありましたね。

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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