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「日本記録を抜かれるならアネキに」 届いたLINE…日本新12秒62の裏で結ばれた2人の固い絆――青木益未

福部との固い絆「日本記録を抜かれるなら、アネキに抜かれたい」

 従来の日本記録保持者である福部とは、固い絆で結ばれる。青木は32歳、福部は30歳。学年は1つ違いで、「アネキ」と呼んでくる後輩には、感謝しても感謝しきれない。故障が続いた時期には、何度も励まされた。出てしまう弱音も受け止めてくれて、前を向く力になった。「日本記録を抜かれるなら、アネキに抜かれたい」。そう何度も言われてきた。

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 今大会前には、合同練習を実施した。広島を拠点とする福部が、東京に来てくれた。互いにアドバイスを交わしながら、走りの感覚、ハードル技術などを調整した。「それが自信になり、記録につながった」

 この日、12秒68を出した予選後、スマホが鳴った。「アネキは(12秒)5台は出せる。8割で力まず頑張れ」とのLINEのメッセージ。もちろん送り主は、福部だった。向かい風0.2メートルだった決勝は、再び12秒62を出した中島に次ぐ12秒72の2位。福部の激励に応えることはできなかったが、何度も何度も言われた「日本記録を抜かれるなら、アネキに抜かれたい」という思いは、予選で実現させた。

 福部は6月の日本選手権の準決勝1組を大会記録12秒72で1着通過した後、言っていた。タイムが表示される電光掲示板を見ながら、笑顔だった理由を問われ、「青木さんがベストが出たんじゃないかっていう。その喜びです」。自身の大会記録より、同じレースで2着だった青木が、当時の自己ベスト12秒79を出したことが、ずっとうれしかった。その言葉に2人の関係性が集約されていた。

 今、青木は胸を張って言える。

「結果的に、それ(ケガ)がなく順調にできていたとしても、12秒6台までは出なかっただろうなと思います。(もともと)そこまで(のタイム)出る選手にはなれないと思ってたので。それがスプリントがあったとしても、ちゃんと真子ちゃんみたいに、ハードリングを突き詰めてやらないといけないと思えた。ケガがあって、しっかり自分の体と向き合って、いろいろ変える勇気も出たのかな」

 もちろんケガは美談じゃない。でも、そこにあった絆が自分を変える勇気になった。向き合った苦悩が進化の過程となった。

(THE ANSWER編集部・上田 悠太 / Yuta Ueda)

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