桑木志帆が全英女王になれたワケ 大雨に打たれ1時間…トレーナー「これが桑木志帆なんです」センス×努力=大輪の花に
女子ゴルフの今季メジャー最終戦・AIG全英女子オープンが2日、英国のロイヤルリザム・アンド・セントアンズGC(6601ヤード、パー71)で開催され、首位に3打差の2位で出た桑木志帆(大和ハウス工業)が、エスター・ヘンゼライト(ドイツ)とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制して日本女子7人目の海外メジャー制覇の偉業を達成した。現地でサポートしている小楠和寿(おぐす・かずとし)トレーナーに、桑木の勝因を聞いた。

稲見萌寧の東京五輪銀メダル獲得にも貢献、小楠和寿トレーナーが桑木の勝因を語る
女子ゴルフの今季メジャー最終戦・AIG全英女子オープンが2日、英国のロイヤルリザム・アンド・セントアンズGC(6601ヤード、パー71)で開催され、首位に3打差の2位で出た桑木志帆(大和ハウス工業)が、エスター・ヘンゼライト(ドイツ)とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制して日本女子7人目の海外メジャー制覇の偉業を達成した。現地でサポートしている小楠和寿(おぐす・かずとし)トレーナーに、桑木の勝因を聞いた。
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小楠氏は率直に言った。
「4日間通して落ち着いて、動じないでプレーできたことが一番の要因だと思います。ショットも終始安定していました」
現地では、コースのフェアウェーが硬く腕や脚に負担がかかることを考慮してケアを重ねていたという。また、この数か月は「首と胸のスペースを作る(首を長く保つ)ことを重点にしたトレーニングをしていました」と明かした。
「言い換えると、肩甲骨を下げて胸を張るイメージです。桑木さんはクラブを縦に使いたい選手なので、懐(体の近く)に腕を下ろしやすくするためにです。首が詰まってしまうと、腕が下におりなくなってしまうので。パターの際も同様に考えています」
小楠氏は理学療法士の国家資格を取得しており、2017年から国内女子ゴルフツアーで選手に帯同。これまでアン・ソンジュ、ペ・ヒギョン、全美貞、稲見萌寧、西郷真央らをサポートした。稲見との契約時には、東京五輪銀メダル獲得に貢献。桑木とは23年5月、知人に紹介されて契約を交わした。
約3年の付き合いで、桑木に感じているのは「センスの塊」。理由は「一つ伝えるとすぐにそれをものにする」からだ。
桑木のスイングは左重心の左軸で回転した後、頭を右に残してインパクトを迎える。その際、右足はべた足状態。小楠氏はこのスイングの特徴を踏まえ、トレーニング時に「アドレスに入った状態で綱引きのようにクラブを引っ張ってみて。先に左足で踏ん張ってから、右に引く感じで」などと伝えている。
「これは彼女が自分で作り上げた独特のスイングです。大きな体重移動はしたくないタイプですが、体重は先に左足側に乗ってインパクト時には右足側に乗る。ただ、長いシーズンの中では感覚的にズレが生じることもある、それを戻すためには何をすればいいのかを考えるのも私の役目です。桑木さんは、伝えた動きがすぐにできる。そこは本当に感心します」
スイング自体もプロルーキーシーズンの22年までは、インサイドアウトで球筋はドロー系。だが、オフに知人の男子プロコーチから「スイングを見直して、フェード系にしてみては」と提案され、1週間で今のスイングを自身で組み立てた経緯がある。
すぐにできる。だが、そこから先の努力も苦にならないタイプだ。5月22日のブリヂストンレディス第2日、競技は豪雨と強風で第2ラウンドが中止になった。大半の選手が早々とコースを後にした。だが、桑木は1人だけ練習グリーン上でパット練習を繰り返していた。約1時間、かさを差して付き合った小楠氏は「これが桑木志帆なんです」と実感を込めた。
桑木は4歳の時、父親の正利さんに練習場に連れて来られ、すぐにゴルフに興味を持った。練習に夢中になり、小学生になった段階で「プロを目指す」と宣言。本格的にゴルフの指導を受けたことはなかったが、正利さんが「いつまでたっても終わらない練習」を繰り返し、地元・岡山で4学年上の渋野日向子らの背中を追った。そして、21年6月、プロテスト一発合格を果たした。
レベルが上がった今の日本女子ゴルフ界では、「センスの塊」を感じさせる選手は他にもいる。だが、桑木は「努力の天才」でもある。念願だった米ツアー出場権も獲得。環境が整えば、自身のタイミングで海を渡ることになる。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)
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