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ラグビー日本代表、W杯ポジション別最新序列 「8割完成」の真偽…世界一デカいFW第3列に現れた「20番の職人」

9番は齋藤直人の存在感、評価が揺るぎない【写真:(C)JRFU】
9番は齋藤直人の存在感、評価が揺るぎない【写真:(C)JRFU】

HB団は顔ぶれが固まりつつある SHは齋藤が存在感、SOは伊藤が収穫

<SH/SO>

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 BKに目を向けると、SHとSOが組むHB団は顔ぶれが固まりつつある。9番はフランスでの2シーズンを終えた齋藤直人(東京SG)の存在感、評価が揺るぎない。今回のヨーロッパ勢との3連戦でとりわけ重要さを印象付けたSHからのキックで、インターナショナルの基準を見せていた。同時に、ゲームをコントロールするパス捌きでラインを動かし存在感を見せた。

 ゲームをコントロールしていくというSHの重責でも、フランスでの経験値をパフォーマンスに還元した齋藤だったが、目を見張ったのは防御力の進化だった。イタリア戦での200cmを超える大型LOへのタックルなど、積極的に、とりわけピンチと判断しての果敢なタックルで、何度もチームの窮地を救っていた。従来、SHはフィジカル面での負担を減らすために不要なコンタクトを避ける傾向もあった。だが、日本代表が、齋藤がフランスでプレーしてきたスタッド・トゥールーザンと同じ、SHでも防御ラインに並ぶ防御システムを取り入れていることで、齋藤の持ち味も生かされている。

 エディーの「9番」評価は、この齋藤と、怪我で代表を離脱中ながら俊敏さと圧倒的なスピードを持つ藤原忍(S東京ベイ)の2人が抜きんでている。興味深いのは、来年のW杯でSHを何人選ぶのかだ。特殊な技術が必要の1人ポジションのSHは、従来のW杯では怪我などのアクシデントも踏まえて3枠を用意するのがセオリーだ。来年もSH3人態勢は十分あり得るのだが、フランス戦ではエディーの“実験”が注目された。控えSHを入れずに、SHは齋藤一人。万が一の時は、SO伊藤が務める布陣で準備していた。世界4位の強豪との対戦で、控えSHが背負うはずの21番を付けていたのはFLティアナン・コストリー(コベルコ神戸スティーラーズ)だった。

 これは、明らかにベンチメンバー8人に、どのポジションの選手を入れるかのテストだった。通常ならリザーブ8人の配分はFW5人、BK3人だが、エディーは6-2で3試合に臨んだ。W杯本番まで1年という時点で、メンバー、取り分け控え選手8人の配分をシミュレーションしていたと考えていいだろう。顔ぶれは変化したが、ベンチのBK選手2人に、FLが本職のティアナン・コストリーがWTB/CTB兼務で起用されていた。結果的にアイルランド戦では前半でCTB2人を怪我で欠き、不慣れなコストリーとサム・グリーン(前静岡BR)が代役を務めた(先発WTBメイン平もCTBをカバー)が、フランス戦ではベンチにSH抜きのメンバリングを敷いてきたのだ。

 勿論、こんなメンバー表上での“冒険”は、適材適所を試し、さらに消耗や怪我の多いFW勢をいかにより多くのベンチメンバーに入れてカバーに厚みを持たせることが出来るかを、怪我などのアクシデントもあるゲームで試したいという狙いがあったはずだ。この先のテストマッチで、どんなベンチ構成を採るかは判らないが、この3試合から得た結論は来年10月のW杯を待つことになる。

 いずれにせよ、現状の「9番」の順位付けは2番手までは確定濃厚だ。残る「0.5」枠を、イタリア戦で代表デビューを果たした上村樹輝(神戸S)、スコッド入りの渡邊晴斗(近畿大4年)、北條拓郎(栃木H)、そして昨季までの代表経験者の北村瞬太郎(静岡BR)らが争う展開だ。

 SOに関しては、伊藤が「若手」という位置づけを飛び越えて、代表司令塔としての資質を輝かせたのは大きな収穫だった。実戦でのパフォーマンス以前の段階で、エディーがこれからのSOに求めるものとして「今までの決められたストラクチャーの中だけでプレーするのではなく、相手防御ラインにしっかりと仕掛けて行ける10番が必要。これがジャパンらしいプレーに繋がるはず」と語っていたが、その要求に100点とは言えないまでも21歳の大学生としては十分に応えたのが、マオリ・オールブラックス戦からの4試合のパフォーマンスだった。

 手術のために代表を長期離脱する李承信(神戸S)の不在を利用して、伊藤に経験値を積ませる目論見だったはずだが、自らボールを持って仕掛けられることで、アタックライン自体も前に出ることが出来るのが伊藤の最大の持ち味。そこに、同世代のWTB植田らとのコンビネーションの高いアグレッシブなキックや、スペースを捉える視野と、ゲームメーカーに求められる資質を存分に発揮する。

 伊藤にとって来年のW杯へ向けた課題があるとすれば、PR大塚同様に、学生として過ごす時間の中で、どこまで代表での国際ステージでの経験値を積み上げていけるかだろう。この経験値の有無でW杯行きの当落が決まるなどという短絡的なはなしではなく、まだまだ不十分な国際経験をさらに上乗せして“本番”のピッチに立つことが、この才気あふれる若き司令塔のポテンシャルをさらに輝かせるためには重要なのだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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