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ラグビー日本代表、W杯ポジション別最新序列 「8割完成」の真偽…世界一デカいFW第3列に現れた「20番の職人」

ラグビー日本代表はフランス代表に15-42で敗れて「ネーションズチャンピオンシップ」のサザンシリーズを終えた。来年のワールドカップ(W杯)でも対戦する相手に6トライを奪われる完敗で、大会成績は1勝2敗、勝ち点4の南半球グループ6チーム中5位。世界のトップ12か国が競い合う新機軸の大会は秋のノーザンシリーズ、そして最終順位を決めるファイナルウイークエンドを待つことになるが、ここまでの3連戦は来年10月に開幕するW杯オーストラリア大会へ向けた強化のためには貴重な試金石となった。世界トップクラスの強豪との戦いから浮かび上がる日本代表の課題と収穫、そしてW杯へ向けたセレクションも踏まえたポジション別の選手のパフォーマンスを振り返る。(取材・文=吉田 宏)

フランス代表に敗れた日本代表、現在のポジション別最新序列を点検する【写真:(C)JRFU】
フランス代表に敗れた日本代表、現在のポジション別最新序列を点検する【写真:(C)JRFU】

「ネーションズチャンピオンシップ」世界の強豪との戦いから浮かぶ課題と収穫を検証

 ラグビー日本代表はフランス代表に15-42で敗れて「ネーションズチャンピオンシップ」のサザンシリーズを終えた。来年のワールドカップ(W杯)でも対戦する相手に6トライを奪われる完敗で、大会成績は1勝2敗、勝ち点4の南半球グループ6チーム中5位。世界のトップ12か国が競い合う新機軸の大会は秋のノーザンシリーズ、そして最終順位を決めるファイナルウイークエンドを待つことになるが、ここまでの3連戦は来年10月に開幕するW杯オーストラリア大会へ向けた強化のためには貴重な試金石となった。世界トップクラスの強豪との戦いから浮かび上がる日本代表の課題と収穫、そしてW杯へ向けたセレクションも踏まえたポジション別の選手のパフォーマンスを振り返る。(取材・文=吉田 宏)

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 W杯“前哨戦”に国立競技場に集まった5万2632人のファンの期待には応えられなかった。15-42は言い訳なしの完敗。世界4位の一軍半に、牙を剥く前にねじ伏せられた印象だ。

 エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は敗者会見で、敗因を明確に指摘した。

「学びの多かった試合だった。2つのエリアで完敗しました。それはモールとキックコンテストで完全にやられてしまったところです。われわれは今後、この部分で策を持たないといけない」

 フランスは、先発15人の中で1桁キャップは7人、30キャップ以上が5人という布陣。冒頭で一軍半とは書いたが、それ以上に若い。総キャップ270は、日本の216キャップと大きく変わらない。1桁キャップ8人、30キャップ以上4人も、経験値だけを見れば双方大差はなかったが、80分間でリードは前半15分からのわずか4分間のみというゲームだった。

 開始2分。いきなりの洗礼を浴びた。自分たちの反則(オフフィート)からのフランスのラインアウトを一気に押し込まれて先制トライを許す。1トライは返したが、19分のトライもラインアウトモールからの右展開で献上。23分にもラインアウトから押し込まれ、29分も再びラインアウト起点の右展開でゴールラインをこじ開けられた。後半1分のトライはキックを交えた展開力から奪われたが、11分もオフサイドの反則からのラインアウト→モールでスコアされた。

 結果的に許した6トライ中5本はモールから奪われたが、敵将ファビアン・ガルティエHCは「戦術的にはラインアウト、スクラムにフォーカスした試合だったが、選手たちは蒸し暑い気候にも順応していい結果を出せた」と予定調和のスコアの取り方、試合結果だったことを印象付けた。

 反則が起点のモールからここまでトライを許すとテストマッチでは勝ち目はないが、空中戦でもイタリア相手には新鋭SO伊藤龍之介(明治大4年)からのキックをWTB植田和磨(コベルコ神戸スティーラーズ)らのチェイスでプレッシャーをかけて優位な展開に持ち込めたものの、フランスのアウトサイドBKのボール捕球力、ファンブルボールへの反応、判断の良さで、期待したレベルではキックを攻撃に生かせなかった。

 エディーの指摘通り敗因は明らかだったが、厳しい現実を突きつけられたのは、掲げる“超速ラグビー”が威力を見せられなかったことだ。前半15分のトライはSO伊藤の思い切りのいいキックカウンターからCTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)―WTB石田吉平(横浜キヤノンイーグルス)と繋いでわずか12秒で仕留め、「らしさ」を印象付けた。だが、キックオフから日本のライン攻撃を見ていても、接点でのコンテストで自分たちの求めるスピードでの球出しが十分に出来ていないのは、前週のアイルランド戦と同じだった。日本が理想とするようなテンポ、モメンタム(勢い)を作り出せず、ラックでの揉みあいを見切られて次の防御ラインに備える相手を崩し切れないままの攻撃が続いた。自分たちの速さで相手を慌てさせた時間帯は、あまりに断片的すぎた。

 皮肉なことに、アイルランド、フランスに連敗する中で、日本は世界ランキングを大会前の12位から11位、今週月曜には10位と上げている。勿論これはランク上位が相次いで敗れての“地盤沈下”の恩恵で、喜んでばかりいられない。世界10位前後クラスと渡り合えるのは、今回のイタリア(対戦時のランク10位)戦はもとより、昨秋のウェールズ戦(同12位、23-24)、ジョージア戦(同11位、25-23)の結果が証明しているが、トップ5クラスを相手には、現状の集散、選手が何度も口にする「エフォート」ではゲームをオーガナイズ出来ていない。ゴールド・エフォート(最上級の労力)を出すためには、ファーストコンタクトでフランス戦以上のフィジカリティー、ファイトを見せて、ボールコントロール、ボディーコントロールを自分たちで制御出来なければ、この負け試合のように概ね攻守で重圧を掛けられながらの戦いを強いられることになる。

「超速」による攻撃力の改善は、チーム、コーチへの夏の宿題だ。フランスからの“ダメ出し”を、8月に再開するテストマッチシリーズで、どう改善して、スコアに反映させるかが「次」の挑戦になる。繰り返しになるが、明らかなのは世界10位のイタリアには勝てたが、世界3位のアイルランドに競り負け、同4位ながら、今大会では勢いのあったフランスには歯が立たないというのが現実。8月に2試合を行うオーストラリアは現在ランク8位。実力的には、さらに上位を窺えるポテンシャルを持つ相手だけに、フランスからの学びである「モール防御」「キックコンテスト」そして「超速」を使って勝ち切りたい相手だ。

 では、3試合での選手のパフォーマンスはどうだったのか。来年10月へ向けた強化の進捗を計る“ものさし”として、完敗のフランス戦までの各ポジション別にその出来栄えを見ていくと、チームの現状と来年10月へ向けた顔ぶれも浮かび上がってくる。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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