世界トップ3に肉薄も…自滅したラグビー日本、ラスト12分に明暗 露呈した“強豪国との格差”とは

一気に60mを駆け抜けたメイン平「ポジションを先週から変えて…」
「WTBがポジショニングを先週から変えてラインアウトの後ろに立つようにしていたところに、たまたまボールが来た。いいチャンスが来たという感じでした」
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そう振り返ったのは、このときブラインドサイドのWTBだったメイン平(リコーブラックラムズ東京)だ。ラグビーのセオリーから考えると、BKの選手が、ラインアウトからボールをダイレクトにキャッチするだけでも興味深いが、平は持ち前のしなやかな、そして一気にギアアップする走りで、攻撃から防御に転じたばかりのアイルランド選手を抜き去り、一気に60mを駆け抜けた。そのランと判断も見事だったが、4年ぶりの代表戦でいきなり結果を残したのは、平が怪我などで別メニューのとき、選外の苦しい時期にも、地道に代表戦に復帰した時に備えてパフォーマンスに磨きをかけてきたことの恩恵でもあった。
鮮やかなトライに眼を奪われがちだが、この先制トライこそが異変だと感じた。エディージャパンが「ティア1」と呼ばれる世界トップ10内に“定住”する強豪から先制スコアを挙げた試合は珍しい。勝利した前週のイタリア戦も相手に先制を許し、この体制がスタートした2024年からでも、強豪国相手の“先制パンチ”は24年10月のオールブラックスとのホームゲームまで遡る。
テストラグビーを見渡すと、立ち上がりから主導権を握るための“まさぐり合い”は年を追う毎に長引いている。最近では、前半40分がそんなジャブの応酬に終始するのも珍しくない。アイルランド戦と同日に行われたニュージーランド―イタリアは14-10(最終スコア47-17)、南アフリカ―スコットランドの14-14(同42-28)でも判るように、今回のアイルランド戦も然りだが「前半接戦、後半完敗(大勝)」というパターンは定番化しつつある。そんな状況の中で、日本は多くの試合で主導権争いの状況下で先制パンチを喰らってきた。
「ゲームの流れの中での偶然」で片付ける見方もあるだろう。だが、まだまだ互いにエンジンが掛かり切れない中でも、容易に相手にスコアチャンスを与えフィニッシュまで持って行かれてしまう、攻めてもスコアまで持ち込めないのが、このチームの傾向として在ると考えている。背景にあるのは、戦況を読み、自分自身がチャンスを生かし切るためにどう振る舞えばいいのか、ピンチを未然に封じるにはどう動くべきかという経験値に裏付けされた状況判断の差であり、設計図通りには進まないテストマッチへ向けた準備段階での個人、組織両面での論理的、技術的、そして感情的な用意の差だと感じている。
そこでクローズアップされるのが平の言葉だ。こちらからは「狙っていたプレーか」という質問をしたが、それには「Yes」とは答えずに、「ポジショニングを先週から変えた」と説明している。より効果的なボールキープ、そこからの攻撃のために、エディージャパンでは敵ボールラインアウトの後方にブラインドWTBを立たせる陣形を準備していたのだ。
“まさぐり合い”でのジャブの応酬、否交換のような時間帯ではあったが、有効になりそうな新たなパンチを用意して世界3位に挑み、相手から“ファーストダウン”を奪ってみせた。「アティチュード:取り組む姿勢」は、いまやスポーツ界の常套句ではあるが、単なる精神論や気持ち、姿勢だけに止まらず、試合までの準備でどんな具体的なプレーを用意して、オンピッチで遂行していくかまでをアティチュードとして取り組んできたことが、このスコアに結実している。
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