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世界トップ3に肉薄も…自滅したラグビー日本、ラスト12分に明暗 露呈した“強豪国との格差”とは

様々なキーワードやスローガンと共にジムの壁に張られた「SOKKYO」の文字。W杯までの15か月で、どこまで即興を伸ばしていけるか【写真:吉田宏】
様々なキーワードやスローガンと共にジムの壁に張られた「SOKKYO」の文字。W杯までの15か月で、どこまで即興を伸ばしていけるか【写真:吉田宏】

合宿を張る宮崎の施設に貼り出された「SOKKYO」の意味

 昨季から日本代表内ではキーワードとして選手も口にしてきたのが、この「エフォート」という言葉だ。その最上級の働きぶりをゴールドエフォートとして、チームでは「ゴールド30」という言葉がもてはやされている。最上級のエフォートを1試合でチーム合計30回することを目指している。このような献身的な努力は、ラグビーに於いてはチームに関係なく重要な要素なのは間違いない。

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 だがその一方で、エフォートだけでW杯でトップ8の常連クラスの強豪と渡り合い、打ち負かすことが出来るのかと問えば、答えは「No」だろう。平が何気なく口にしたように、エフォート自体は誰もが努力すれば発揮出来る取り組みだ。勿論個人差はあるが、どんな天才プレーヤーでも5流選手でもエフォートを求められるし、自分なりのエフォートは出来るものだ。

 だが、そんな努力が世界最強クラスの相手に打ち勝つ術ではなく、むしろ戦う上で求められる最低限の取り組みであり、姿勢だと考えるべきだろう。このエフォートをベースとした運動量、ワークレートに加えて、戦術やゲームプラン、そして先にも触れたように、刻々と変化してゆく戦況や、個々のポジショニングなどに応じた判断力やプレーの選択が、ゲームを優位に進め、苦境をチャンスに転換させ、チームを勝利へ導くための術になる。

 アイルランドが日本相手の80分、そして色濃く明暗を分けたラスト12分で見せた集中力や判断力、勝つために、相手を敵陣に押し込めるために、自分がどう振る舞えばいいのか、何をしてはいけないのかというゲーム理解度は、まだまだ日本が進化と深化が不十分だと教えられたのがこの敗戦だと感じてならない。

 当然のことながら、日本代表もそんな判断力やゲーム理解度といったラグビーのナレッジの強化に取り組んでいる。代表チームが強化の拠点として合宿を張る宮崎の施設には、ジムに興味深いこんな言葉が貼り出されている。

「SOKKYO」

 最初に目にした時には、「超速ラグビー」に通じる「速攻」かと思ったが、何度読み返しても「ソッキョウ」としか読めない。説明を聞くと、その読み通り「即興」を意味しているという。つまり代表チームは、ラグビーのゲームの中でも状況に応じて個々の選手が即興でプレーを選び、動くことが重要であり、15か月後の真剣勝負へ向けて取り組み、伸ばしていく課題と認識しているのだ。

 チームでは、相手のハイボールを捕球してから攻撃に素早く切り替えるときのトランジション(変換)などで、この即興を生かして行きたいのだと聞いたが、このような判断の適切さや切り替えの早さこそが、明暗を分けたアイルランド戦ラスト12分で差をつけられたものだと考えていいだろう。

 チームは2年前の新生エディージャパン誕生から掲げる超速ラグビーを実現するための「ゴールドエフォート」に心血を注いできた。その一方で、判断力、洞察力の重要さを、とりわけこの日の終盤の攻防で見せつけられた。痛恨の12分から学ぶべきものを、どうこの先のパフォーマンスにフィードバックして行けるのか。ここまでの2戦を見ると、世界3位のアイルランドと同等かそれ以上の破壊力と個人技を持ち併せる世界4位のフランス戦が刻々と近づいている。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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