甲子園12度の名門で変革、監督「下の名前で呼んで」 選手戸惑い→浸透した「ジョーさん」の令和流コミュニケーション
高校野球の第108回全国選手権神奈川大会は22日、横浜スタジアムで準々決勝が行われ、桐蔭学園が2-3で鎌倉学園に惜敗した。昨秋から指揮を執る小倉丞太郎監督は、着任直後にナインへ自身の“名前呼び”を提案。春夏合わせて12度の甲子園出場を誇る名門に、令和の風を吹き込んだ。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

第108回全国高校野球選手権・神奈川大会
高校野球の第108回全国選手権神奈川大会は22日、横浜スタジアムで準々決勝が行われ、桐蔭学園が2-3で鎌倉学園に惜敗した。昨秋から指揮を執る小倉丞太郎監督は、着任直後にナインへ自身の“名前呼び”を提案。春夏合わせて12度の甲子園出場を誇る名門に、令和の風を吹き込んだ。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
2016年以来、10年ぶりのベスト4進出とはならなかった。
2回に3点を先制される苦しい展開。釣船一輝(2年)の適時打などで1点差に迫り、9回には一打同点のチャンスを迎えたがあと1本が出なかった。悔しい敗戦にも指揮官は「試合や練習に対する向き合い方を、改善しようと一生懸命努力してくれていた。本当に逞しいなと」と日を重ねるごとに成長を見せる教え子たちを、満面の笑みで褒めたたえた。
「下の名前で呼んで欲しい」
昨年の秋季大会3回戦で川和に敗れた2週間後。着任直後のミーティングでナインにこう告げた。
小倉監督は桐蔭学園OB。94年センバツにエースとして出場している。「監督に話をするのがちょっと難しい時代で僕らは過ごしてきた」と苦笑いするように、在学当時は同校に限らず選手と指導者の距離感が遠いのが部活動の“当たり前”だった。
「他愛もない話でもいいので、少しでも話ができるようにして、何かヒントを得て野球につなげてもらえたら。話しかける1歩目はなかなか踏み出せない。2歩目以降は僕がなんとかするので、1歩目を作るために仕掛けをしてみました」
春夏合わせて甲子園12回出場の名門で始めた“令和流マネジメント”の一つ。「監督呼び」に慣れる教え子たちは当初、戸惑いを隠せなかった。カジュアルな呼称に違和感を覚え、しばらく「小倉監督」と呼び続ける選手もいた。
それでも、普段の挨拶で必ず二言以上の会話を交わす「二言挨拶」などでコミュニケーションを増やし、上下関係の意識を変えた。今ではナイン全員が「丞(ジョー)さん」呼びだ。
新しい取り組みは着実な成果が見えた。リードオフマンの釣船は「ジョーさんのコミュニケーションの取り方は、話しやすくて相談がしやすい」と感謝。主将の坂間拓海(3年)も「近い距離でもしっかりと線引きがされている。そこのバランスが保たれて、いいチームになった」と信頼関係を表現した。
昨年10月の監督就任から1年目足らず。今夏は惜しくも4強入りを逃したが、既に来年以降の目標は明確だ。「今は横浜一強と言われていますけど、その牙城を崩すのがうちでありたい」。高橋由伸(元巨人)ら名選手を輩出している名門も、甲子園出場は森敬斗(現DeNA)を擁した2019年センバツが最後。夏は1999年までさかのぼる。新しい文化とともに、桐蔭学園は久々の聖地を目指していく。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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