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世界トップ3に肉薄も…自滅したラグビー日本、ラスト12分に明暗 露呈した“強豪国との格差”とは

FLながらCTBでプレーしたコストリー(右)【写真:JRFU】
FLながらCTBでプレーしたコストリー(右)【写真:JRFU】

自滅で逃した金星 ラスト12分に明暗「エフォートに技術はいらない」

 結果的にスタッツにも、日本の苦闘が浮かび上がる。前半の敵陣22m内への侵入回数は日本が5回、アイルランド4回と上回ったが、侵攻回数からの得点率を見ると日本の2.6点対4.7点と仕留める力は明暗を分けた。アイルランドは前週のオーストラリアとの接戦でも、敵陣ゴール前まで攻め込むとほとんどスコアまで持っていった印象だったが、日本戦でも前半3トライ中最初の2トライは13次、19次としぶとく攻撃を継続して仕留めている。

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 後半20分にFWのパワーゲームでトライを奪って、20-26と1トライ1ゴールで逆転出来るスコアに戻したのも日本の現在の地力と評価したいが、そこからの勝負がまさに日本の「今」を指し示していたと感じさせられた。再び敵陣22m内へ攻め込んだ日本が相手の激しく前に出る組織防御にハンドリングミスで攻撃権を失ったのに対して、アイルランドは残り12分のセンターライン上のスクラムでの日本の反則(コラプシング)で敵陣に入ると、そのまま自陣への反撃を許さず、31分にはPGでの加点で日本の「7点差以内の敗戦」によるボーナスポイントも奪い獲った。

 一度脇道に逸れるが、この試合では日本が後半開始までに両CTBを負傷で失うアクシデントにより、WTBの平とFLが本職のティエナン・コストリー(コベルコ神戸スティーラーズ)の急造コンビで戦うことになった。一部には、これを「不運」と敗因の一つに挙げる声もあるようだが、エディーは通常なら控えメンバー8人中5人はFW、3人がBKというセオリーを選ばず、敢えてFW6人をベンチに並べてきた。

 勿論、アイルランドの大型FWへの対抗策であり、来年のW杯でのベンチメンバーのテストも踏まえていたかも知れない。だが、いずれにせよ、このメンバー配分は、チームとして意図的に選んだ“ギャンブル”だ。今回のようなリスクも、数%とはいえ可能性がある中での選択は決して不運ではない。結論からいえば、この先もBKが足りなくなるリスクを背負いながらFWに厚みを持たせていくのか、リスクは少ないセオリー通りの配分を取るのかは、チームおよびHCの権限と責任で決めていくしかない。

 話をゲームに戻すと、スクラムでの反則以降は日本が12分間で都合5度の反則(内1回はイエローカードによる10分間の退場処分)、加えて反撃の起点となるはずだったキックオフのミスを犯したことが、この敗戦で突き付けられた厳しい現実だ。攻守でしたたかに、我慢強くプレーし続け、プレッシャーを掛けてきた勝者に対して、日本は相手を射程に捉えながら勝ち切る以前の段階でのナイーブさを何度も露呈した、いわば自滅で金星を取り逃したのだ。それを残念賞と呼ぶことも出来るが、15か月後の真剣勝負へ向けた厳しい現実と受け止めるべきだろう。

 この正念場での“完敗”を、竹内はこう振り返った。

「ゴール前に入った時のアイルランドの、絶対にスコアするというスイッチの入り方は、世界上位の国の凄みもあったし、そこで受けてしまった部分もありました。自分たちのプランを遂行する部分で今日の点差になったと思います。相手のストラクチャー通りに動かれてしまったので、アタックでもディフェンスでもそこを乱さないと、こういう格上のチームには勝てないと思う」

 僅か残り12分余りの明暗が示した格差。それは、会見で平が語った一言に図らずもヒントがあるように感じられた。

「自分たちのエフォートというのは100%やり切ろうとハーフタイムに話していましたが、エフォートの部分は技術はいらないですから」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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