“ミニW杯”で世界10傑から金星 敵将が「弱点」と睨むも…覆したラグビー日本代表の「9番・10番」の躍動
魅せた“新しい力” 先発2試合目のCTB廣瀬が感じた勝機とは
主将が25年の代表戦初トライでチームを盛り立てれば、次は“新しい力”が魅せた。昨年代表デビューして、この試合が先発2試合目の25歳、CTB廣瀬雄也(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)だ。前半17分の敵陣右展開。身長2m台のハリー・ホッキングス(東京サントリーサンゴリアス)、そしてワーナーが次々に縦に走り込む。イタリア防御も、2人がデコイ(囮)となったサインプレーと判っていても、このサイズ感でストレートに駆け込まれると反応せざるを得ない。2人の動きに反応して薄まった相手防御ラインに対して、一気の加速で仕掛けたのが廣瀬だった。防御を抜け出してFB松永拓朗(BL東京)にラストパスと、共に代表6キャップ目の2人で逆転トライ(ゴール)を仕留めた。
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「自分はまだまだテストマッチレベルの選手じゃないと感じています。去年キャップは取れましたが、おこぼれみたいなキャップだった。自分の中でも、こんなんでいいのかと感じていたんです。なので、今日が自分にとっての本当のファーストキャップかなと、試合が終わって感じました」
昨秋のヨーロッパ遠征では、わずか1試合、14分のみの出場記録に終わっていた。廣瀬の言葉からも、悔しさと危機感が滲んでいる。だが、ダブリンでの練習で、レギュラー陣の外れで、黙々とタックル、スキル練習に取り組み、主力メンバーの“相手役”を務めた努力は裏切らない。着実に技術を磨き、世界に立ち討つフィジカリティーを鍛えた下積みが、このトライアシストの伏線にもなった。
キックオフ直後の防御では果敢なタックルでインパクトを残した。ミッドフィールドでの相手の左展開。廣瀬より2歳若い23歳ながら世界屈指のCTBに成長するイタリア代表トンマーゾ・メノンチェッロの仕掛けを、果敢なタックルでノックオンさせた。38分には、自陣での相手ショートパントに素早く反応した背走からボールを捕球して、競り合ったメノンチェッロのトライを封じ込んだ。
攻守にテストマッチレベルのプレーを見せた廣瀬が勝機を感じたのは、前半終了間際のイタリアの「選択」だった。
「前半最後にイタリア代表がPGを狙った瞬間に、これ全然いけるなという感じはありました。自分たちが余裕を持ったということじゃなくて、自分たちのディフェンスが効いているという自信になった。なのでハーフタイムも、ディフェンスでどんどんプレッシャーを掛けていこうとすごくいいコミュニケーションが取れていた。(結局)最初から最後までイタリアにペースを渡さずプレーが出来た」
廣瀬が指摘したのは、日本の17-7で迎えた前半終了直前の一連のプレーだ。日本陣へ攻め込んでのPKで、イタリアがタッチキックからゴール前でのラインアウトを選択。だが、モールを押しきれずに再び獲得したPKではラインアウトを選ばず、FWがタップキックから攻めてきた。このアタックも日本がなんとか封じ込むと、3度目のPKではトライを狙わずPGでの3点を選んだのだ。
この選択を、イタリアのFLミケーレ・ラマロ主将は「時間を考えながら、仮に自分たちの思い通りにならずにボールを失えば、日本にペースを与えてしまうことになる。後半の入りも考えて、スコアを10点にすることを選んだ」と説明したが、廣瀬以外のメンバーも、自分たちの防御力、そしてイタリアチームに広がる自信の無さで、精神的な優位性を感じ取った瞬間だった。
廣瀬の明治大の後輩でもあるSO伊藤龍之介(明治大4年)の資質は、前週のマオリオールブラックス戦後のコラムでも紹介した通り。このテストマッチデビュー戦でも、「臆せずにプレー出来た」と、21歳、初キャップを感じさせない思い切りのいいアタックとキックを何度も見せたが、廣瀬は「リュウ(伊藤)のやりたいことも大学の時から見ていたので、こういうシチュエーションでこういうプレーがあるだろうと予測はし易かった。大学生で10番を背負いながらティア1の相手に勝てたことが、なんだか凄く嬉しくなりました」と、隣のポジションで後輩の持ち味を最大限に引き出しながら戦い続けたゲームでもあった。
東福岡高時代からインサイドCTBとしてSOもカバーする役割だったこともあり、イタリア戦ではエディーが昨季まで以上に重視する戦略的なキックでも、同じCTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、両WTB、FBらと共に、SO、SH以外のポジションからもキックで攻め込むアタックのバリエーション拡大にも貢献した。
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