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1歳2か月で小児がん発覚、左腎臓を摘出…身長152cmの球児が駆けた最後の夏 モットーは「人より劣っている分、人より」――住吉・犬田結羽

高校野球の第108回全国選手権神奈川大会は13日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかで3回戦が行われ、住吉が0-11で夏の連覇を目指す強豪・横浜に5回コールド負けした。三塁コーチャーの犬田結羽(ゆうわ・3年)は生後1年2か月で小児がんを罹患。体格は小柄でも誰よりアグレッシブに戦い、全力で高校野球人生を走り切った。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

三塁コーチャーとしてチームを鼓舞する住吉・犬田結羽【写真:戸田湧大】
三塁コーチャーとしてチームを鼓舞する住吉・犬田結羽【写真:戸田湧大】

第108回全国高校野球選手権・神奈川大会

 高校野球の第108回全国選手権神奈川大会は13日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかで3回戦が行われ、住吉が0-11で夏の連覇を目指す強豪・横浜に5回コールド負けした。三塁コーチャーの犬田結羽(ゆうわ・3年)は生後1年2か月で小児がんを罹患。体格は小柄でも誰よりアグレッシブに戦い、全力で高校野球人生を走り切った。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 体は小さくても、その存在感はピカイチ。152センチ、44キロの犬田は高校最後の5イニングを全力で戦い抜いた。

 三塁コーチャーとして誰よりも大きな声でチームを鼓舞。2回1死二、三塁のピンチでは伝令としてマウンドに駆け付け、強豪・横浜に立ち向かうナインに勇気を届けた。結果は5回コールド負け。悔し涙が頬を伝ったが「今までやってきたことを出せたので悔いはない」と必死に前を向いた。

 試練が訪れたのは生後わずか1年2か月の頃。母・則子さんは、息子のおむつが血尿で赤くなっていることに気が付いた。診察結果は「小児がん」だった。「目の前真っ白ですよね。何が起きているのか分からなかった」(母)。手術で左腎臓を摘出。抗がん剤治療や放射線治療のため、犬田は約1年間の入院生活を強いられた。

 退院後は運動制限や塩分制限もなく、脱水症状を防ぐために、水分補給を意識する以外は、普通の生活を送った。ただ「晩期合併症」が原因で背骨の発育が妨げられ身長が伸びず。中1の時点で128.7センチ、体重25キロ。文部科学省が公表している学校保健統計調査と比較すると、小3男子の平均に相当する程度だった。

 困難に負けない、大きな心を育んでくれたのは野球だった。小1の頃、母に勧められ瞬く間に熱中した。「礼儀や仲間を思いやる気持ち。チームスポーツの大切さ。精神面を成長させてくれた」と感謝する。「人より劣っている分、人より頑張ろう」がモットー。野球を通じて努力を重ね、ハンディキャップに負けない強さを手にした。

 かつてキャッチボールでは塁間の距離も山なりでギリギリ届く程度だった。この夏、9日の湘南台との2回戦では「9番・二塁」で公式戦初先発。初安打となる左前打、初盗塁もマークするなど成長を示した。朝6時に起床し、朝練で1時間汗を流す日々も終わり。自身と同じくハンディキャップを持つ子供たちへ、犬田から伝えたいことがある。

「野球が上手い選手だけでなく、病気で身体が小さくても一生懸命やっている姿、がむしゃらにプレーしている姿、がむしゃらに声を出している姿をより多くの人に見せることができれば。多くの人に勇気を与えることができるし、自分の人生にすごい価値が生まれると思います」

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)

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