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日本が「ラグビー先進国になるチャンス」 W杯“再誘致”の勝算、協会新会長が語る夢

アジアや南半球を巻き込んだ招致活動への期待

 平尾ジャパン時代の選手、スタッフを中心に進む代表強化は、コロナ感染など厳しい状況のなかで、なんとか進んでいる。そして別法人のリーグワンも含めた協会内の横の繋がりを重視した変革は、これからが本番だ。最後に、改めて会長として挑戦するべき大きな柱になるW杯再誘致への構想を聞いた。

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「会長就任の挨拶で一番先に言った、日本にもう一度ワールドカップを持ってくるということですけれど、すでに2031年までは開催地が決まっている。なので35年なのか、39年なのか。そこを協会の中でチームを作って、どう誘致していけばいいのか、いつなのか、チャンスはどこにあるのかを考えていきます」

 そこには、日本単独で動くのではなく、周囲の国、地域を巻き込んだ展開も視野に入れている。

「インドなども含めたアジアの競技人口、ファン人口を増やしていくことを、日本が中心になってやっていければいいと考えています。ワールドカップは日本開催だけれど、アジアと結びついていく。日本は北半球ですが、そこはニュージーランドなど南半球勢も応援してくれるでしょう。島国のトンガやサモアは、親が子供たちをプロのニュージーランドやオーストラリアではなく、大学に行けて、企業で働ける日本に魅力を感じている部分もある。そういう意味では、日本という国がラグビーの先進国だったり、アジアの中心になれるチャンスがある。優位性をしっかり持ちながら、ワールドカップ招致にもチャレンジしていきたい」

 ここには、南北半球ではなく、地球の経度を軸とした協調という視点がある。

「ニュージーランドはラグビーでは常に強豪国ですけど、その一方で500万人ほどの人口です。プロスポーツが潤沢な資金を得て活動していくには厳しい環境です。オーストラリアでは、15人制ラグビー以外にも13人制のリーグラグビー、オージーフットボールなど様々な人気スポーツがある。このような国と、日本が一緒になって組めるチャンスはすごくあると思います。それがリーグワンなのか、スーパーラグビーなのか、代表戦なのか。そんな連繋を持ちながら、ワールドカップをもう一回日本に持ってくる挑戦をどこかのタイミングで発表しながら、“どうやっていくか”がものすごく大事だと考えています」

 経度では同軸のニュージーランド、オーストラリアとの共創を考える流れは、常に日本ラグビー界の中にはある。その経度による繋がりを、プロ化が進む現在の国際ラグビーの中で、どう舵取りしていけるかが、ビジネスマンとしても成功を収めた新会長の手腕が期待される部分でもある。

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土田 雅人

日本ラグビーフットボール協会会長 
1962年10月21日生まれ、秋田県出身。名門・秋田工高で頭角を現すと、同志社大に進学し平尾誠二らと大学選手権3連覇を果たす。卒業後はサントリーに入り、ラグビー部で活躍。95年に現役を引退してサントリー監督となると、1年目で日本選手権優勝に導いた。97年からは日本代表フォワードコーチとなり、監督となった平尾を支えて99年W杯を経験。2000年からは再びサントリーを率いた。本業でも要職を歴任するなか、15年に日本ラグビー協会理事に、今年6月には新会長に就任した。

吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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