最後の100m、0秒03差で敗戦直後…雨に打たれ、勝者に捧げた敬意 ライバルは「敵というより同志」――甲南大・藏重みう

国語の教員免許を取得中「プロの地位が確立されていないので…」
思考の切り替えが、追い風になった。前半10メートルへの強いこだわりを捨て、加速局面全体に意識をシフト。固定観念や理想像も取っ払い、チャレンジャーとしての新鮮な気持ちを取り戻した。
今季は4月の日本学生個人選手権で優勝。今大会は200メートル7位、4×100メートル3位。本命の100メートルは惜しくも準優勝となったが「日本インカレの表彰台に上れたことは、少し評価してもいいのかな」と柔らかな笑みを浮かべる。
現在は国語の教員免許を取得中。卒業後も競技を続けるが、将来的にはセカンドキャリアとして中高の教壇に立つ道も見据えている。
「陸上は他のスポーツと違って、プロの地位が確立されていない。引退した後、生活水準が脅かされる事態になってしまう。『手に職をつけたい』という想いは常にあったんです」
大学の空きコマや、遠征の移動時間に教職課程の課題をこなした4年間は「本当に大変でした」と振り返る。
今後の目標は「見ている人に笑顔を届けられるような選手になりたい」と藏重。結果を事細かに追ってくれる家族や親戚、慣れないインターネットでYouTubeの配信や速報サイトを見つける祖父母のために、今後も走ることはやめない。
ライバルへの敬意と、大切な人たちへの感謝を胸に――。勝敗を超えた本当の強さを手に入れたスプリンターは、これからも多くの人に笑顔を届ける。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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