中3でオール5、頭脳明晰な148キロ二刀流が“1人だけ悔し涙”の理由 サヨナラ勝ちでも…残った自責の念――慶應義塾・湯本琢心
高校野球の第108回全国選手権神奈川大会は21日、横浜スタジアムで準々決勝が行われ、慶應義塾が4-3で立花学園に延長10回タイブレークの末、サヨナラ勝ちした。「3番・投手」で先発したエースの湯本琢心(たくみ、2年)はプロ注目の二刀流。劇的な勝利でナインが歓喜する中、1人だけ悔し涙を流した理由とは。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

第108回全国高校野球選手権・神奈川大会
高校野球の第108回全国選手権神奈川大会は21日、横浜スタジアムで準々決勝が行われ、慶應義塾が4-3で立花学園に延長10回タイブレークの末、サヨナラ勝ちした。「3番・投手」で先発したエースの湯本琢心(たくみ、2年)はプロ注目の二刀流。劇的な勝利でナインが歓喜する中、1人だけ悔し涙を流した理由とは。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
3年ぶりに王者・横浜への挑戦権を掴んだ。
初回に3安打を浴び、いきなり失点。それでも「点を取られることは気にせず、自分らしく投げていれば結果はついてくる」とポジティブな考えが功を奏した。自己最速となる148キロをマーク。直球を主軸に要所を締める粘りの投球で、5回8安打1失点の好投。先発の役割を果たし、チームの劇的なサヨナラ勝利に繋げたが、試合後の表情はどこか複雑だった。
ドジャースの大谷翔平を「超える存在になりたい」と意気込む二刀流。だが自らのバットで試合を決めることはできなかった。打者としては5打数無安打。1点を追う延長10回1死二、三塁の場面では空振り三振と快音は聞こえず。「打てば勝てるという場面なのに……」。うつむきながらベンチに向かう姿には自責の念がにじみ出ていた。
湯本の凡退で敗退まであと1人と追い込まれた直後、4番の大棒琉雅(3年)が放った打球は二遊間を抜けた。2者が生還し、逆転サヨナラ。割れんばかりの歓声が響き渡る三塁側スタンド、グラウンドへ駆け出す選手たち。歓喜のあまり号泣するナインを横目に、湯本はたった1人悔し涙を流した。
「神様はチャンスを与えてくれたけど、自分が結果を出せなかった」
名門・慶應義塾で1年夏から背番号9を背負い、投打で活躍する逸材。意外にも野球人生は山あり谷ありだ。
小6では東京ヤクルトスワローズJr.に落選。中学時代はU-15日本代表入りも叶わなかった。「単純に実力負けというのが正直なところ。ポテンシャルが追い付いてないっていう感覚でした」。味わった挫折は無駄にしない。素振り1本1本、常に相手投手とボールを具体的に思い浮かべ、とにかく質を追求。春日部ボーイズでは、3年春に全国優勝を達成した。
中3の成績はオール5を獲得するなど、頭脳明晰。4季連続出場を狙う王者・横浜との対戦を前に「自分が決めるというエゴも出しつつ、周りに頼れるところは頼って、横浜に全力で向かっていきたい」と切り替えた。まだ2年生。チームを引っ張る二刀流は、悔しさを糧にひと回りもふた回りも成長する。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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