高3夏インハイ出場、半年後に難関大合格 “普通”の女子大生になるはずが…心奪われた「大阪大学陸上部」の魅力――大阪大・岸本礼菜
5日から4日間、岡山のJFE晴れの国スタジアムで行われた陸上の第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子100メートル障害、400メートル障害に出場した大阪大の岸本礼菜(1年)。高校1年時から全国大会に出場する実力を持ち、大阪大には現役合格した。大学では“普通”のキャンパスライフを満喫する予定だった女子大生が、再びトラックに戻ってきたワケとは――。文武両道を貫く理由や陸上への思いを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

陸上・日本インカレ 女子100&400メートル障害/大阪大・岸本礼菜(1年)
5日から4日間、岡山のJFE晴れの国スタジアムで行われた陸上の第94回日本学生対校選手権(日本インカレ)。熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子100メートル障害、400メートル障害に出場した大阪大の岸本礼菜(1年)。高校1年時から全国大会に出場する実力を持ち、大阪大には現役合格した。大学では“普通”のキャンパスライフを満喫する予定だった女子大生が、再びトラックに戻ってきたワケとは――。文武両道を貫く理由や陸上への思いを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
文武両道を貫く阪大の1年生ハードラーが、10か月ぶりに全国の舞台を駆け抜けた。
女子100メートル障害予選、黄と黒のユニホームをまとった岸本。スタートラインに立ち、真っ直ぐに前を見つめた。勢いよくスタートを切り、1台1台障害を越えていく。他の選手からは後れをとったが、最後まで全力で走り切った。15秒05(向かい風1.1メートル)の組6着で敗退も「10か月ぶりのハードルだったのでゴールできて良かった」と安堵の表情を見せた。
導かれるようにして、この場所に戻ってきた。
親が大会にエントリーしたことをきっかけに、小学4年で始めた陸上競技。大阪・咲くやこの花中3年時の全中では、100メートル障害で2位、4×100メートルリレーで日本一を達成した。中高一貫校で高校に進学すると、1年時からインターハイに出場。全国の舞台を経験してきた。

陸上競技に励む最中、漠然と目指してきたのが大阪大学への進学。「大阪大学は地元の国公立なので、周りも一番すごい大学という感じで……。物心ついた時には『目指すもんや』と思っていて」。高校2年から塾に通い始めて部活と両立。3年夏はインターハイまで駒を進め、引退後、長い時には10時間以上の勉強をこなし、関西屈指の難関大に現役合格した。
「『陸上と勉強をどっちも頑張るんや』って。それが自分の価値という気持ちがあったので、やめたら自分の価値がなくなってしまう気がして……。どっちも頑張ろうって」
勉強も部活も手を抜かず。両方でトップを目指した青春を振り返る。