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韓国野球に苦戦も…侍右腕が「楽しい時は無敵」と言えるワケ 13歳で見せられた現実「食っていけないぞ」

武田はドッジボールを使って準備する場面も【写真:羽鳥慶太】
武田はドッジボールを使って準備する場面も【写真:羽鳥慶太】

「韓国人はやさしいので」武田がチームに怒った理由「流す文化がある」

「だから、挑戦し続けているうちは全然大丈夫だと思っているんです」。ソフトバンクでは、戦力外となった若い選手に「もし野球を続けられるなら、絶対に続けたほうがいい」と説き続けてきた。「野球を選んだところからの20年。最初は楽しくなかったですけど、どんどん楽しくなっていったんですよね」

 その言葉通り、今季もシーズンが深まるとともに日韓の野球にある“違い”に気づき、制御できるようになってきた。そして、このリーグで韓国の打者を抑えるには、何よりも球速が必要だと思い知らされた。後半は試合も練習の一環とみなしてマウンドに向かっていた。

「来年韓国にいるとしても、日本に帰るとしても、アメリカに行くとしても、今必要なのはスピードを上げることなので。後半戦は特に『今日も筋肉痛や!』と言いながら投げていましたよ」と笑い飛ばす。ブルペンの準備は様々な大きさや重さのボールを使い、どんなフォームで投げていたのか、動画を毎日のようにチェックする。「通訳がかわいそうなレベルです。野球のことばかり考えていて、やることでいっぱいなんですよ」。

 韓国は日本以上にインスタグラムなどのSNSが全盛だ。好成績を残せない選手には、ファンからの罵詈雑言が直接向くことも多い。武田は先発でKOが続くと、メディアの報道にも厳しい言葉が並んだ。

「うちの選手には、試合後にSNSを見て『メンタルトレーニングです』っていってるヤツもいて『強っ』て思いましたけど、僕は文句を書かれても何も思わないです。ひとり叩いてくるヤツがいたら、その10倍応援してくれる人がいると思っているので。シンプルに興味がないんです」

 ソフトバンクへの入団時から笑顔がトレードマークの武田。外からの声には動じないが、チームに対しては怒ったことが何度かあったという。「筋が通っていないヤツにはとことん言う。怒ったらめっちゃ怖いって言われますよ」という熱い一面を持つ右腕が、チームを強くするために言わなければと感じた瞬間があった。

「韓国人は表立ってはやさしいので、本人相手には厳しいことを言わないんですよ。例えばホークスだと、ミスをしたら野手、投手、コーチみんなに言われて責任感がついていくんですけど、韓国はカバーリングの遅れとか全力疾走を怠ったとかに対し『まあまあ』と優しく流す文化がある気がします」。SSGは今季10球団中6位で、ポストシーズンに進出できなかった。一方でレギュラーシーズン1位のKTや2位のサムスンは、当たり前のことをきちんとやっていると見ていたからだ。

 武田にとって、驚きと研究を繰り返した1年が終わる。「春くらいから、絡まったひもを1個ずつほどき続けて、やっとほどけてきたなという感覚です。もうシーズン終わっちゃいますけどね」。考えて野球をしてきたからこそ、様々な気づきがあった。そして野球が楽しいという感覚も、最後まで消えなかった。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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