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韓国野球に苦戦も…侍右腕が「楽しい時は無敵」と言えるワケ 13歳で見せられた現実「食っていけないぞ」

今季、韓国プロ野球には10球団にひとつずつの「アジア枠」が誕生し、多くの日本人選手が海を渡った。その中で一番の実績を持つのが、ソフトバンクで通算66勝を挙げ、侍ジャパンにも選出経験のある武田翔太投手だ。ただ韓国では苦闘が続き、残った数字は2勝10敗、防御率7.41。それでも野球は楽しいという気持ちは「全然なくなりませんね」と言い切る。この野球観には、スタートの“競技選び”が大きく影響していた。(取材・文=羽鳥慶太)

降板時にチームメートに迎えられる武田(右)【写真:羽鳥慶太】
降板時にチームメートに迎えられる武田(右)【写真:羽鳥慶太】

韓国で投げた武田翔太、もがいた時間も「野球は楽しい」と言える理由

 今季、韓国プロ野球には10球団にひとつずつの「アジア枠」が誕生し、多くの日本人選手が海を渡った。その中で一番の実績を持つのが、ソフトバンクで通算66勝を挙げ、侍ジャパンにも選出経験のある武田翔太投手だ。ただ韓国では苦闘が続き、残った数字は2勝10敗、防御率7.41。それでも野球は楽しいという気持ちは「全然なくなりませんね」と言い切る。この野球観には、スタートの“競技選び”が大きく影響していた。(取材・文=羽鳥慶太)

「楽しい時って無敵じゃないですか。僕はその気持ちがなくなるまでは野球をやりたいと思っています。今のところ、全然なくならないですね」

 シーズンが終わろうとする10月、今季投げたSSGランダースの本拠地、インチョン(仁川)で会った武田は、トレードマークの笑顔でこう口にした。昨秋、ソフトバンクから戦力外通告を受け、まず考えたのは米国での挑戦。韓国からのオファーは意外だったが、新たな世界を見てみたいと飛び込んだ。

 ただ、待っていたのは苦しいシーズンだ。打者の反応を見て感じ、考えながらの投球が身上。感覚のアジャストには思った以上に時間を要した。開幕から先発で20試合に投げたが、無失点で終えたのは初勝利を挙げた1試合だけ。3度の2軍落ちを経験し、8月からはリリーフに転向した。何とか数字を残そうともがいたのも、野球の楽しさの一つだという。

「むしろ、こういう野球もあるんだと学べたシーズンでした。同じ野球なのに、こんなに違うスポーツなのかと感じたことって、今までなかったんです。『じゃあアメリカはどうなんだろう?』とか、視野が広がりました。毎試合、最初から最後まで勉強しまくっていますよ」

 武田がこう考えられるのは、野球を始めた時の経験が影響している。九州出身の選手に多いパターンで、小学校時代に始めたのはソフトボール。中学校に進む際に、バレーボール部に入るか、野球部に入るかという選択があった。武田は誘われていたバレーボールの方に興味があった。そこで父が差し出してきたのが一枚の紙だ。バレーボールと野球、それぞれの年俸上位選手の名前と額が並んでいた。

「見た瞬間、バレーボールを捨てざるを得なくなりました。親父は『バレーボールって、他に仕事しないと食っていけないぞ』って言うんです。『野球なら野球だけで食っていける。どうするんだ?』って言われて……。13歳で超リアルな現実を見せられたんですよ」

 中学校の部活動に加わり、最初は軟式でのプレー。宮崎県選抜に選ばれるなど順調に成長し、宮崎日大高を経てドラフト1位でソフトバンク入りした。確固たる意志を持って選んだ野球。そんな経緯もあってか「野球をあきらめた時点で、今までの頑張りが水の泡になる」と考えるようになった。

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