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期限ギリギリに届いた韓国プロの誘い お金か夢か「めちゃくちゃ迷いました」2軍球団の26歳が選んだNPBへの“最短コース”

サイドスローからのクセ球と、上がった球速はスカウトにどう評価されるか【写真:羽鳥慶太】
サイドスローからのクセ球と、上がった球速はスカウトにどう評価されるか【写真:羽鳥慶太】

指名された同級生がくれた教訓…ベテラン又吉から授かった知恵

 そう口にする上村がこれまでスカウトに評価してもらえたのは、大きく曲がるスライダーなど、変則投手として武器にしてきた部分だ。一方では、最速で140キロ台後半だった速球のスピードを上げたいともがいてきた。「スカウトにアピールできるものが変わると思うんです」。今年は少しずつ球速が上がり、自己最速の151キロにまで達した。何があったのか。

「言葉にするのは難しいんですが、体の動かし方ですね。フォームのタイミングが合って、下からの力を使えている感じがあるんです」

 昨秋、同学年の牧野憲伸投手が、ドラフトで育成1位指名を受けて中日へ進み、今春には支配下へ駆け上がった。オイシックスでプレーしていた昨季、牧野は後半戦で先発からリリーフに転向して投球スタイルを見直し、毎月1キロずつ球速を上げて夢をかなえた。先発時代には140キロそこそこだった球速は、最速153キロに。この現実は上村に勇気を与えた。

 牧野が残した教訓を上村は「やっぱり150キロ出ないと、話にならない時代なんだなと思わされましたし、もし変則で150キロを出せたらアピールにもなるなと思ったんです。あとはシーズン後半の8月、9月にインパクトを残すこと」と理解している。開幕直後に絶好調でも、調子が落ちていくようでは獲得するNPB側の印象に残らない。逆もしかりだ。韓国には行けないと思った理由もここにある。「育成の最下位でもいいので、かからないと始まらないんです」と切実な思いを口にする。

 絶好のお手本もやってきた。今季途中に加入した、元ソフトバンクの又吉克樹投手は同じサイドスロー。「高めをもっと使ったほうがいい」とのアドバイスを受けた。上村も「低めはどうしてもバットに当てられてしまうんです」と投球の組み立てを変えてみると、高めの真っすぐで空振りやファウルを取れるようになった。さらに又吉から「マインドや考え方が本当に勉強になるんです」と大きな影響を受けている。

 抑えはチームの勝敗に直結するポジション。時には敗戦の責任も背負わなくてはならない。上村は又吉から「負けという結果を次にどうつなげるか」を学んだという。

「攻めて出た結果なら、先を考えられる。逃げて歩かせたりした結果だと、何も残らないんです」

 又吉もかつて独立リーグからドラフト指名を受け、NPBで通算503試合登板、FA移籍や日本代表入りも果たすという、まさに上村が目指す道を歩いた。毎日、隅々まで意識を行き渡らせての練習には驚かされた。「週初めはテンポを上げてしっかり汗をかいたり、いつ、何をすべきかというのが明確なんです」。野球の突き詰め方を日々、学んでいる。

 2軍球団は、ドラフト指名に向けてもがく若い選手と、NPBに戻るために新たな自分を見つけようとするベテランが交わる場だ。上村は又吉の言動に見たプロ意識を「三上さん(元DeNA)や吉田さん(元オリックス)がいた時にも思ったんですけど」と、自分の中に取り入れている。この世界を生き抜いてきた選手たちの知恵は、下の世代へ確かに伝わっている。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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