ドラフト指名漏れから2軍球団へ…韓国21歳に迫る“タイムリミット” NPB選手に心酔して気づいた生きる道
プロ野球の2軍、ウエスタン・リーグに参加しているくふうハヤテには、1人だけ外国人選手がいる。韓国出身で、独立リーグの徳島を経て今季入団したチャン・ヒョンジン(張賢眞)内野手だ。ソウル高校を卒業してすぐ日本の球界に飛び込んで3年目の21歳。感じている両国の違いなど、若い世代から見た日韓野球の「リアル」を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

くふうハヤテ唯一の21歳、チャン・ヒョンジンが心酔する日本人選手とは?
プロ野球の2軍、ウエスタン・リーグに参加しているくふうハヤテには、1人だけ外国人選手がいる。韓国出身で、独立リーグの徳島を経て今季入団したチャン・ヒョンジン(張賢眞)内野手だ。ソウル高校を卒業してすぐ日本の球界に飛び込んで3年目の21歳。感じている両国の違いなど、若い世代から見た日韓野球の「リアル」を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)
チャン・ヒョンジンは韓国・ソウル高3年だった2022年の秋、韓国プロ野球のドラフトで指名漏れし、野球を続けられる道を探した。できるだけ多くの試合機会がほしいという条件に合ったのが、日本の独立リーグ。四国アイランドリーグの徳島で2年プレーし、今季からくふうハヤテにやってきた。かつては関心がなかったという日本の野球だが、今では心酔する選手までできた。
「最初見た時、めっちゃイケメンが打席に立ってると思って……。野球もうまいし、性格も面白い。今は全部マネしています。アイブラックも、腕のテーピングもそうだし、打席の前のルーティンも」
こう憧れを語るのは、昨秋のプレミア12で侍ジャパンにも選出された栗原陵矢(ソフトバンク)だ。今季は脇腹を痛めて開幕1軍を外れた栗原と、2軍戦で対面することは叶わなかったが、つてを頼って手に入れたサイン入りの打撃用手袋を「寮の部屋に飾って、毎日見ているんです」というほどの入れ込みぶり。それも、昨季は三塁でゴールデングラブ賞に輝いた栗原のようなスタイルこそ、自分が目指す道だと気づいたからだ。
試合前や試合後、短い時間でも素振りを繰り返しているように、チャン・ヒョンジンが大好きなのはバッティング。でもそれだけでは、上のレベルには行けないと気付かされた。「自分はNPBを目指すなら外国人枠になります。やっぱりパワーでは、どうしてもかなわない選手がいるんですよ。じゃあ、自分がどんな選手にならなきゃいけないか考えたんです」。自分に足りないもの、それは日韓の野球観にのぞく違いでもあった。
来日するまで、日本野球にはほとんど興味がなかった。予備知識なしに混ざると、いやでも違いに気付かされた。日本野球の強みを問うと「守備です」と言い切る。昨季までプレーした徳島では、試合前のシートノックをきっちり、ミスなく終わらせるという準備を重視していた。その中で、根本的に守備の概念が違うのではないかと気づいた。