「失敗したら終わり」突き動かす恐怖心 復活Vの裏側…レース中「すみません」近くの男性ランナーに持ち掛けた交渉――新谷仁美
サングラスを投げたら、まさかの場所へ
ファンを大切に思う。レース中は思わぬ裏話もあった。ゴールが近づくと、2000年シドニー五輪金メダルの高橋尚子さんよろしく、新谷は終盤で走りながらサングラスを外し、放り投げた。「最初からファンの方にあげるつもりで、サングラスをつけていたんです」。走りながらのファンサービスをするつもりだったが、サングラスは沿道まで届かず、たまたま積水化学のチームメート山崎りさのもとへ。「取った者勝ちではあるのですけど、ただ投げた場所がコース寄りだったので申し訳なかった」と思わぬ“心残り”となった。
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今大会では、2028年ロサンゼルス五輪の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権も獲得した。前回はMGCの出場資格を得ながら、24年パリ五輪を目指さない意向を公言し、出場しなかった。しかし、今回は違う。レース後、ロサンゼルス五輪への挑戦を明言した。
「オリンピックを楽しみにして見てくださっている人もいる。だからこそ、日本の女子のマラソン界をどう盛り上げるかっていったら、もう単純に早くゴールしなきゃいけないっていう形だと思う」
新谷は1万メートルで2012年ロンドン五輪9位、2013年世界選手権で5位入賞と実績を残しながら、2014年に25歳で突然の引退。会社員を経て、2018年に800メートル元日本記録保持者の横田真人コーチに師事し、現役復帰した。
38歳にして、2時間24分14秒の大会新記録で優勝。危機感と恐怖心に突き動かされ、勝つための準備と駆け引きを徹底した。その積み重ねで必然の結果を導いた。
(THE ANSWER編集部・上田 悠太 / Yuta Ueda)
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