「失敗したら終わり」突き動かす恐怖心 復活Vの裏側…レース中「すみません」近くの男性ランナーに持ち掛けた交渉――新谷仁美
会見から始まっていた勝負 男性ランナーに“ペースメーカー”打診
レース2日前から、駆け引きは始まっていた。28日の有力選手会見。目標タイムと順位を問われた新谷は「ここではお伝えすることはできない」と明言を避けた。勝負の鍵についても「42.195キロ全てだと思っています」と語るにとどめ、レースプランを明かさなかった。
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会見での発言も、“意図的”だった。マラソンは「30キロまでは心理戦」と話す。会見で多くを語らなかった理由について「作戦です。自分の状態は教えませんよ、ご想像にお任せしますよという。勝手にメディアの方が深読みして書く分には問題ないので」と笑った。ライバルたちに自身の調子やレースプランを探らせないための策だった。
今大会は男女同時スタートだった。25キロ付近、向かい風が強くなった場面で、新谷は近くを走っていた男性ランナーに声をかけた。「利用させてもらえるなら」とレースの真っただ中で「ペースメーカー」と「風よけ」をお願いしたのだ。
新谷「すみません。引っ張りできますか?(1キロ3分)25秒前後でいいですか?」
男性ランナー「いいですよ」
快諾してくれた男性ランナーの背後で約2キロ、力をためた。男性ランナーが「新谷さん、すみません。もう無理です」と苦しくなると、新谷は深く感謝を述べて、さっそうと前に出た。レースでは冷却材を手に握り、深部体温の上昇を抑えた。
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