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ラグビー日本代表、56失点惨敗の検証 善戦→1週間で激変のなぜ…2m級大型化で“足りぬ存在”が浮き彫り

日本代表の問題点を物語る“あるスタッツ”

 そして「仕留め=遂行力」の部分だ。このエリアは、敵陣22mライン突破回数に関係するスタッツが問題点を物語っている。ここは日本代表の恒常的な課題でもあり、8日の接戦でも日本が劣っていた部分ではあるが、今回も下記のような数値になっている。

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▼敵陣22mライン突破回数と得点率
日本/7回(2.4点)
豪州/12回(4.6点)

 日本が敵22mラインを7回突破して1回平均2.4点を獲っていたのに対して、勝者は12回の突破で平均4.6点と倍近いスコアを稼いでいる。1週間前は両チーム10回の突破で日本が2.9点、オーストラリアは3.8点だったが、今回は22mライン突破という得点機も大きく上回られた上に、そのチャンスをスコアにする遂行力で前戦以上に差をつけられていた。

 攻撃面の目安となるスタッツに、ラックから何秒でボールを展開出来たかを数値化した「ラックスピード」がある。スピードで勝負するチームでは尚更重要な数値でもあるが、この大敗でも日本は51%の球出しを3秒以内で行っている。3-6秒では45%という数字は、ワラビーズの0-3秒44%、3-6秒30%を遥かに上回っているが、それでもスコアまで辿り着けた攻撃には相当な差があったのだ。

このような遂行力、つまり自分たちの攻撃を得点に繋げるという観点からは、今回の大敗の中では1人の選手のプレーぶりが、この先へのヒントだと感じさせた。ワーナーが「何度もターンオーバーされた」と指摘したプレーの“犯人”オーストラリア代表の7番カルロ・ティッツァーノだ。

 180cm、104kg。サイズでは日本でも「小兵」の部類だ。2024年に代表デビューして、まだ15キャップとキャリアは浅いが、このチームの伝統でもあるコンパクトなオープンサイドFLとして存在感を高めている。オープンサイドFLの役割は、スクラムでSOおよび攻撃ラインが敷かれる「オープンサイド」側でスクラムを組み、真っ先に相手ボール、味方ボールに辿り着くことだ。以前なら「ボールを舐めるように走る」と表現していたが、ボールが動き出せば常にその軌道を追うように走りながら、接点に仕掛けるのが主だった仕事になる。

 ワラビーズの「7番」は、過去にはジョージ・スミス(元サントリー)、マイケル・フーパー(同トヨタヴェルブリッツ)など日本でも活躍した選手も少なくないが、多くが身長180cm程度と大型選手ではないものの、密集の中で相手からボールを奪い取るジャッカル、執拗なタックルと、ゲームの流れを寸断するようなプレーで存在感を見せてきた。そもそもジャッカルという呼び方自体が、スミスのプレーぶりからつけられたニックネームが、そのまま引用されたものだった。

 そんなジャッカルのエキスパートは、この同一カード2連戦で初先発すると、唯一人、3度のブレークダウン・ターンオーバーを成功させている。他の両軍メンバーでターンオーバーを記録している選手が全て1回だった中での数字だ。前半22分にオーストラリア陣22mラインまで攻め込んできたHO江良颯(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)を完璧にロックするようにボールに絡んでPKを得ると、後半14分にも左展開で22mラインへオープン攻撃を仕掛けてきたFB松永拓朗(BL東京)に対して1人でタックルからボールへ絡む完璧なジャッカルで反則を奪い、23分には、同じく自陣22mラインを挟んだ攻防で仕掛けてきたFLリーチマイケル(同)を捕らえて反則を犯させた。日本が犯した合計13個の反則の内3個は、この7番のジャッカルで、しかも自陣22mラインという地域での窮地を未然に防いだ値千金のプレーだった。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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