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「カッコつけていた」19歳のジブン 高木美帆がソチ五輪落選を「挫折ではない」と断言する理由

多感な思春期を、トップアスリートたちはどんな思いを抱きながら駆け抜けたのか。キャリアを積み重ねた今だからこそ見える景色とは――。THE ANSWERが各競技を代表するアスリートたちの“原点”に迫るインタビュー連載「10代のジブンへ」。スポーツに勉強に一生懸命だった日々を振り返りながら、その後のキャリアにつながった経験、人生を変えた出会いや言葉などを思い起こし、今を生きる中高生アスリートにメッセージを送る。

ソチ五輪落選からの日々を振り返った高木美帆さん【写真:松橋晶子】
ソチ五輪落選からの日々を振り返った高木美帆さん【写真:松橋晶子】

連載「10代のジブンへ」第1回、高木美帆(スピードスケート)後編

 多感な思春期を、トップアスリートたちはどんな思いを抱きながら駆け抜けたのか。キャリアを積み重ねた今だからこそ見える景色とは――。THE ANSWERが各競技を代表するアスリートたちの“原点”に迫るインタビュー連載「10代のジブンへ」。スポーツに勉強に一生懸命だった日々を振り返りながら、その後のキャリアにつながった経験、人生を変えた出会いや言葉などを思い起こし、今を生きる中高生アスリートにメッセージを送る。

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 今年4月に現役引退を表明し、8月に国民栄誉賞を受賞したスピードスケートの高木美帆さんは、五輪4大会に出場し、日本女子最多となる通算10個のメダルを獲得した。日本のスポーツ史にその名を刻み込む活躍を見せた一方、10代で大きな失意も味わった。2014年ソチ五輪、その舞台に自身2度目の出場を目指した高木の姿はなかった。19歳での五輪落選という経験は、その後のキャリアにどのような影響を与えたのか。「挫折とは違う」という言葉の真意に迫った。(取材・文=二宮 寿朗)

 ◇ ◇ ◇

《2013年12月のソチ五輪代表選考会において結果が伴わず、出場できなかった苦い経験は高木美帆さんにとって大きなターニングポイントとなる。当時は、日体大1年生の19歳。ショッキングな出来事に目を背けず、彼女はスピードスケートに向き合い続けて競技にすべてを注ごうとしていく。自分を客観的に見つめる確かな目が、変わるきっかけともなった》

 もちろん、ソチ五輪に出たいとは思っていました。でもどうしてもカッコつけて、目標達成に全振りできなかったところがありました。熱量がそこまでなかったということです。

 中途半端に五輪に行かなくて本当に良かった。この4年前のバンクーバー五輪の時のように、奇跡的な感じでソチにも行くと“土壇場で何とかなる”と思ってしまっていたんじゃないかなと感じるので。直前でバタバタしたってどうにもならないことがあるとソチの選考会で学べましたし、その学びは非常に大きかったと感じます。

 挫折とはちょっと違うんです。私のなかでは、やることをすべてやって、そのうえで打ち砕かれるような出来事が挫折だと思っています。やったつもりではあるんですけど、所詮「つもり」なんですよね。それならば挫折には当たらない。

「つもり」だと思った理由としては、姉(菜那)を見ていたからです。姉は高校卒業後に社会人チームに入って、練習もつらそうだし、いろいろと大変そうでしたけど、「五輪に出たいから」とずっと私に話をしてくれていました。当時の私は、必死にやっている人のことをどうこうとか全く思わなかったんですけど、こと自分に関しては必死にやっていることを人に見せるのに抵抗がありました。もうその時点で(ソチに出場した姉を含めて)スケートに対する思い、五輪に対する思いが、全然違っていたわけです。実力が出せなかったのではなく、それ以前の問題でした。やる前から負けていたし、完全な敗北だと思いました。極端ではなく、金づちで頭を殴られたような感覚でしたね。私にとっては必要な痛みでもありました。

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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