介護で寄り添った弟の彼女へ「一番に伝えたい」感謝 仕事を辞め、資格取得「誰よりも頑張っている」――元WBC世界ミニマム級王者・重岡優大さん【後編】

弟にあえてかける厳しい言葉「お前、だせぇぞ」
兄として、支える側の負担を減らすよう努める中、弟にはこれまでと変わらず発破をかけている。
【注目】「この体重でも跳べるんだ」 月経異常や骨密度低下を経験、引退後に気づいた数字に縛られない体作り(W-ANS ACADEMYへ)
「銀もただ生活するだけじゃダメなんで。今はご飯を歯で噛むのも難しい。嚥下食ですり潰した小さいサイズだから、あいつ噛むのを怠ったりする。『疲れた』とか言ってご飯食べさせてもらおうとすることがあるんですよ。『お前、だせぇぞ』って。頑張って食べている感じなんですけど、俺はもっと努力してほしい」
ボクサーとして拳を磨いていた2人は、日々切磋琢磨してきた。「俺たちは何度も限界を迎えて、練習で追い込んでも『もっと行ける』『一緒にやろうぜ』とお互いに言って、さらにきついメニューをこなしてきた。強いやつに挑戦したいというチャレンジ精神はずっとあったし、ボクシングでやってきたことと同じですよね。銀が甘えることがあるので、俺だけでも銀に厳しい言葉をかけてますよ」
現役時代から第2の人生ではカフェの経営を考えていた優大さん。引退の決断は想定よりも早くなったが、ボクシングを続けるよりも銀次朗さんの居場所を作りたいという思いが強くなった。カフェには銀次朗さんと彼女が時折顔を出す。優大さんは「銀に色んな人と会って、頷いたり笑うだけじゃなくて、声を出す努力をさせたりもします。日常生活の中で、することがリハビリになってるんじゃないかな」と背中を叩く。
カフェでアルバイト経験はあるものの、自分の店を持つのはもちろん初めて。ブラジルやコロンビア、エチオピアなど数種類の原産国の豆を揃え、特徴を活かして焙煎にこだわる。「優しく焼こうと思ったら優しい味になるし、バチバチいこうと思ったらしっかりした味になる。感情ベースでボクシングと似ている」。また、コーヒーが飲めない人も楽しめるよう、バニララテや抹茶ラテのほか、ベーグルやクッキーなども用意した。加えて豆のオンライン販売も今後は予定している。
ボクシングを離れた今、自分自身も新しいことに挑戦する。その姿を見せることも弟への思いにつながっている。
「この世界、あいつはボクシングしかできなかったねって言われたら俺はおしまいだと思ってる。あいつは世界チャンピオンになった理由がわかるなというところを、俺は見せていかなきゃいけないんです」
かつて世界王座に就いた重岡兄弟は、リングを離れた今も変わらず、前に進もうと挑戦を続けている。
(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)









