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ラグビー日本代表「10番」争いに新星 W杯まで1年…エディーの言葉をなぞる明大4年生の“原石”

伊藤が得た学び「判断の早さは上げていかないと」

 伊藤にとっても、このマオリとの80分間は自分に足りない物、つまり「学び」を得た試合でもあった。冒頭に紹介した、この21歳のコメントには続きがあった。

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「判断の早さは上げていかないと世界レベルでは通用しないかな」

 さらに踏み込んだ話もしてくれた。

「スクラムからだったり、最後のシーンとかも、自分が長くボールを持てば持つほどプレッシャーがかかってくる。なので、相手に仕掛けながらも早い時間で、早い選択が必要だなと思いました。今日もトライチャンスを2回3回潰してしまったと思うので、プレッシャーがかかった、数少ないトライチャンスをしっかりスコアまで持っていける力を伸ばしていきたい。テストマッチは勝ち切らなきゃいけない。そういった部分ではまだまだかなと思いました」

 伊藤が指摘した「最後のシーン」とは、終盤に自陣から攻撃を仕掛けた伊藤が、マオリの防御にボールをファンブルさせたシーンを指す。他にも、ランプレーを仕掛けようとして背後からのタックルにボールを落とすなど、コンタクト、フィジカル面では、世界トップ10クラスの実力とも言われるマオリ・オールブラックスとの差は歴然だった。前半28分にはゴール前ラックからボールを受けて、自ら切れ込んであわやトライのシーンも、相手にボールをはたかれて阻まれた。

 課題も露わになった一方で、自信も学びも得た21歳のライバルを見渡すと、李の長期離脱、宮崎合宿に参加した小村真也(トヨタヴェルブリッツ)もコンディションによるチーム離脱と災難続き。これから始まるテストマッチシリーズでも、伊藤がプレータイムを伸ばせる期待感は高まる。伊藤自身のこれからを考えると、代表と明治大ラグビー部での活動や大学の授業などを、どう上手く調整出来るかも27年W杯へ向けて大きなチャレンジになる。

 チーム全体を見ても、マオリ戦の先発15人にノンキャップは6人いたが、LOエセイ・ハアンガナ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)のような既に国内リーグで実績のある存在に伊藤ら「代表合宿参加メンバー」が並んだ。「トレーニングスコッド」と呼ばれる“代表外”からのスタメン入りはCTB李智寿(朝鮮大学校4年)のみ。つまり、今回のメンバリングは、若手育成ではなく“本気モード”に近い編成だった。

 要は、今週末に迫る世界ランキング10位のイタリア代表(日本は同12位)戦で開幕するネーションズチャンピオンシップ、オーストラリアとの2試合という夏の代表戦シリーズで、どう結果を残していけるか。マオリ戦80分の「学び」を「結果」に替える勝負が迫る。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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