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「くぅあああ…」「ダレ、誰なん!」 朝5時、久保竜彦の絶叫…酒も飲まず噛り付いた日本代表のオランダ戦激闘

ドラゴンが、THE ANSWER編集部に帰ってきた――。サッカー北中米ワールドカップ(W杯)は14日(日本時間15日)、1次リーグF組で日本がオランダと対戦。2度先行されながら追いつく激闘で、2-2で引き分けた。この試合に合わせ、元日本代表FW久保竜彦が東京・中目黒の編集部を来訪。前回2022年カタール大会に続き、解説を務めた。今回はそれに先立ち、観戦の様子をレポート。「相手オランダよ、あり得んて」。ため息と雄叫びが交錯した90分間をお届けする。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

並んだ缶ビールに手をつけず、水とお茶で日本代表の熱戦を見守る久保竜彦【写真:清水孝司】
並んだ缶ビールに手をつけず、水とお茶で日本代表の熱戦を見守る久保竜彦【写真:清水孝司】

THE ANSWER編集部に来訪 W杯・日本―オランダ戦ドラゴン観戦記

 ドラゴンが、THE ANSWER編集部に帰ってきた――。サッカー北中米ワールドカップ(W杯)は14日(日本時間15日)、1次リーグF組で日本がオランダと対戦。2度先行されながら追いつく激闘で、2-2で引き分けた。この試合に合わせ、元日本代表FW久保竜彦が東京・中目黒の編集部を来訪。前回2022年カタール大会に続き、解説を務めた。今回はそれに先立ち、観戦の様子をレポート。「相手オランダよ、あり得んて」。ため息と雄叫びが交錯した90分間をお届けする。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

 東京・中目黒。決戦の朝は、雨が降り続いていた。まだ薄暗く、人影もない。

 若者が「映え」と「いいね」を求めて群がる目黒川沿いを、充血した目をこすり、今日もビーチサンダルで歩いてやってきた。

 久保竜彦。

 日本サッカーの歴史に不滅のロマンとタラレバを残した男は、この街の景色がよく似合わない。

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 2022年、列島に「ブラボー!」と「ななふぅん!?」がこだましたカタールW杯。

 引退後、自然を求めて山口の小さな港町・室積に移り住み、コーヒー焙煎に塩作り、野菜作り……と、唯一無二のキャリアを歩む伝説のストライカーの感性を、4年に一度の舞台で輝かせたい。

 そんな想いから、THE ANSWER編集部で缶ビールを飲みながら日本戦を観戦・解説する異色の企画を実施。当時、日本の16強入りの躍進とともに、一部サッカーマニアから熱烈な支持を受けた。

「この観戦記が好評なん? 嘘やろ。俺、酒飲んで喋っとるだけやん。どういうことよ……まあ、俺は読んどらんけどな」

 そう言っていた試みが、北中米W杯で復活した。「久しぶりやの、おーん」。再会した久保はそう言って、髭を蓄えた口元を緩ませた。

前夜の打ち合わせ、編集部スタッフの老眼鏡を借りて「むっちゃ見えるやん」とガラケーを握りしめる久保【写真:清水孝司】
前夜の打ち合わせ、編集部スタッフの老眼鏡を借りて「むっちゃ見えるやん」とガラケーを握りしめる久保【写真:清水孝司】

 ◇ ◇ ◇

 4年の歳月は、世の中を変える。

 生成AIが人間の価値を問い直し、アイドルが「かわいいだけじゃだめですか?」とそれぞれの居場所を探す時代。

 最近、Gmailを覚え、Zoomに感動した。

 半面、近くのものが見えにくくなった。

 トラップをせず、ジャンピングボレーで得点した理由を「めんどくさかったんで」の一言で片づけた男も一昨年、孫が生まれた。

 ドラゴンにも確かに、時は流れている。

 ◇ ◇ ◇

 ただ、変わらないものもある。

 一張羅を自称するジャージに、3か月前にまた新しく替えたガラケー。季節も天候も問わないビーチサンダル。広島時代に「やらかして」以来、貫く坊主頭。

 そして、何よりサッカーと酒への愛――。

 前夜は編集部スタッフと「打ち合わせ」と称して酒場に繰り出し、瓶ビールに始まり、白ワイン、焼酎、ハイボールと愉快にちゃんぽんした。

「マリノスの時はドゥトラが近くに住んどって。あいつの子ども、可愛かったよな。マルキ(マルキーニョス)はやばかったよ。組んだFWでNo.1よ、なんでもできるし。(佐藤)由紀彦のクロスもすんごいんよ」

 不思議と昔話に花が咲き、夜は更けた。

 ◇ ◇ ◇

 数時間後。東横線の始発もまだ動いていない午前4時42分、前乗りしたホテルからやってきた。

「まさか」とは思うが、念のため、缶ビールを並べておいた。

 ところが、海釣りで採った魚を自ら包丁で捌くごつい手が伸びたのは水。

 3日後は誕生日。「俺、もう50になるんよ。きついよ、そりゃあもう」

 ドラゴンと私たちのW杯は、悲哀に満ちたぼやきから始まった。

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