「くぅあああ…」「ダレ、誰なん!」 朝5時、久保竜彦の絶叫…酒も飲まず噛り付いた日本代表のオランダ戦激闘

展開はヒリヒリ、口内はカラカラ「ほんま強くなったんよ、日本」
選手入場。「キャプテン、堂安。おお……」。代表の推しはずっと変わらない。
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ただ、相手の主将ファン・ダイクと対峙したコイントスでビビる。「でっか、やばいやん。俺の時は(フランスに)デサイーがおった。怪物よ。そんな感じやろか」
キックオフ。前半3分、いきなりペナルティエリア内に侵入を許し、椅子から腰が浮いた。「いやあああああ……!」。鈴木のビッグセーブ。パンと手を叩いた。
ピンチのたびに「やばい、やばい」とつぶやく。
序盤から展開はヒリヒリ、口内はカラカラ。並んだ乾き物には手をつけず、水は3杯目へ。23分に主審が試合を止めてきょとん。「給水タイムなんてあるんか?」
以降は膠着が続く。ポケットから白のガラケーを取り出し、思わず時間を確認。「(以前の機種の)赤は海に落ちた。黒はどっか行った。それで白よ」
本田圭佑が「オランダはトイレの便器も高いんです」などと語録を炸裂させても反応しない。ところが、「今、見過ごしてましたね、誰のボールからチャンスになったのか」といううっかりには黙っていられない。「……鎌田や」
前半終了。明るくなり始めた窓の外を眺め、今度はお茶に手を伸ばす。「もうすぐ6時か」。ポテトスティック(トリュフ味)の封を切り、後半の攻撃態勢を整えた。

◇ ◇ ◇
後半立ち上がり。5分、自陣深い位置でFKを与える。小声でポツリ。「嫌やねえ、嫌やねえ」。予感、的中。直後、被弾。「んあー!」。頭を抱え、机をバンと叩いた。
歓喜の雄叫びが響いたのは7分後。12分、カットインした中村が右足一閃。「マタか!股やん!」。股抜き弾に立ち上がり、そして恍惚。「くぅああああ……ナイス!」
しかし、19分に強烈なシュートでお返しを食らう。失点。「んあー……ちっ」。舌打ちの後に、2度目のバンという苛立ちの音が響いた。
入れ替わるため息と咆哮。直後、伊東を投入し、流れを変えようと試みる。
依然、ゴールは遠い。小川、冨安、菅原、さらに塩貝を送る。
こすった瞼の二重が深くなり、ドラゴンにも疲労と焦燥が滲むが、しかし――。その時は突然、訪れた。
43分。右CKに合わせた小川のヘッドが鎌田の頭に当たり、ゴールネットが揺れた。この日一番の絶叫。「(決めたのは)ダレ…!誰なん!」。手を10度叩いて歓喜。「うおおおおお……やっば!!」
そのまま試合終了。2-2。いつからか存在を忘れていたお茶をゴクリと飲み干した。

◇ ◇ ◇
試合後。興奮が冷めやらぬまま、解説インタビューを実施。
「いや、オランダよ、相手。すごいよ。昔からめっちゃ好きで、クライフ、ファン・バステン、ベルカンプ、ロッベン……ずっとおったやん、すごい選手が。それにW杯でね、追いつくとか。あり得ん。ほんま強くなったよ、馬力あるよ、日本」
その中で「(成長に)びっくりした」という2人の名前、途中投入で流れを変えた影のヒーロー、入籍の際に保証人になってくれた恩師・森保監督の采配まで、シラフで見守った90分間を熱く語り尽くした。
取材を終え、編集部を出る。午前7時48分。雨は降り続いている。
「またこうやって(みんなで)見られるの、楽しいね。さ、寝よか」
月曜朝。街が目覚め始めた目黒川沿いを歩くドラゴンの足取りは、どことなく軽かった。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)
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