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出版社社長でラグビー協会の仕掛け人 異色の指導者が“原石”発掘に情熱を注ぐ理由

日本ラグビー協会の才能発掘プロジェクトTID(Talent Identification/人材発掘・育成)ユースキャンプの一環として、2018年から始まった「Bigman & Fastman Camp(ビッグマン&ファストマンキャンプ)」が、7月27日からの3日間、長野・菅平で行われた。名称の通り、体の大きな選手や小さくても足の速い選手など一芸に秀でた選手を集めて、育成しようという試み。「THE ANSWER」でも2019年12月に紹介したキャンプだが、このユニークな合宿を立ち上げ、今でも陣頭指揮を執る日本協会リソースコーチ、通称ゴリこと野澤武史マネージャーに、プロジェクトに込める思いを聞いた。グラウンドを離れれば山川出版社社長という異色の指導者。いわゆるエリート選手ではない高校生たちを、どうラグビーに引き留め、さらに可能性に磨きをかけていくのか。この取り組みには、名もなき原石たちへ“ゴリ”が注ぐ無償の愛情が詰まっている。(取材・文=吉田 宏)

長野・菅平で行われたビッグマン&ファストマンキャンプを指揮した野澤武史TIDマネージャー【写真:吉田宏】
長野・菅平で行われたビッグマン&ファストマンキャンプを指揮した野澤武史TIDマネージャー【写真:吉田宏】

一芸に秀でた選手を発掘する「ビッグマン&ファストマンキャンプ」を開催

 デカいやつ、速いやつ集まれ!

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 日本ラグビー協会の才能発掘プロジェクトTID(Talent Identification/人材発掘・育成)ユースキャンプの一環として、2018年から始まった「Bigman & Fastman Camp(ビッグマン&ファストマンキャンプ)」が、7月27日からの3日間、長野・菅平で行われた。名称の通り、体の大きな選手や小さくても足の速い選手など一芸に秀でた選手を集めて、育成しようという試み。「THE ANSWER」でも2019年12月に紹介したキャンプだが、このユニークな合宿を立ち上げ、今でも陣頭指揮を執る日本協会リソースコーチ、通称ゴリこと野澤武史マネージャーに、プロジェクトに込める思いを聞いた。グラウンドを離れれば山川出版社社長という異色の指導者。いわゆるエリート選手ではない高校生たちを、どうラグビーに引き留め、さらに可能性に磨きをかけていくのか。この取り組みには、名もなき原石たちへ“ゴリ”が注ぐ無償の愛情が詰まっている。(取材・文=吉田 宏)

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 ゴリの夏が再びやって来た。

「ビッグマン&ファストマンキャンプの開催は、昨年12月以来。最初が2018年だから、足かけ5年です。コロナで2年間はできなかったけれどね。でも、菅平でこの時期のキャンプは2019年以来。ここでやれるのは、やはり嬉しいですね」

 標高1200メートルの高原の乾いた風は爽やかで軽やかだが、降り注ぐ陽光は容赦ない。その陽射しの下で輝く日焼けした笑顔は、高校時代から変わらない。慶應高-慶應義塾大、そして神戸製鋼。身長こそ170センチと国際級ではなかったが、分厚い胸板と広い肩幅、そしてその風貌から、ニックネームは“ゴリ”。誰が見ても本人だと判別できる愛称は、43歳になった今でも変更なしだ。

 そのゴリが仕掛け人となってスタートしたTIDビッグマン&ファストマンキャンプ。このTIDキャンプには、高校、U20日本代表育成を目的にしたエリート強化のプログラムもあるが、この男が取り仕切る“ビッグマン&ファストマンキャンプ”は趣が違う。国内トップクラスの能力や実績がなくても、全国クラスの強豪チーム所属でなくても、サイズや俊足など一芸に秀でた選手なら自薦他薦で参加OKだ。

 自薦での参加資格は高校1、2年で身長190センチ、体重115キロ、立ち幅跳び280センチのいずれかに準じるか、それ以上の数値の持ち主。つまり“肩書なし”で、今回は全国各地から39人が選ばれた。ゴリ自身はラグビー界のメインストリームを歩んできたエリート選手だったが、キャンプに集まった名もなき選手たちに溢れんばかりの情熱を注ぐ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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