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生理が止まり「私の体って大丈夫?」 競技に体も心も捧げる女性アスリートに伝えたいこと【鈴木明子×皆川夏穂】

24歳で引退した皆川さん、現役中は「競技のことしか考えられなかった」と振り返る【写真:片岡祥】
24歳で引退した皆川さん、現役中は「競技のことしか考えられなかった」と振り返る【写真:片岡祥】

これからの女子選手にとって大切なのは「自分で考えられる」こと

鈴木「ロシアはロシアで自分のやり方があります。その環境下で、自分の考えや学んだことをキチンと先生に伝えられたことって、すごく大きいですよね。皆川さんのように、別のやり方のすべてを否定するのではなく、日本とロシアのいいところを取り入れていけるってすごく大事だと思います。

 逆にロシアでの経験がなかったら、体重管理に関して、今のように考えることができなかったかもしれないですしね。今、コーチの勉強をされていると聞きましたが、日本とロシアの両方を経験し、生徒たちにはどう指導していきたいですか?」

皆川「選手には痩せなきゃ、ではなく、気持ちよく、100%の力で練習ができるようになって欲しいです。100%で動けないから食べたものを消費できず、太っていくことにもつながる。だから、毎日健康で、100%練習に取り組めるよう、今日の調子はどうかな、体の感覚と自分の感覚が合っているのかなと、自分で考え、判断できる選手が育っていくといいなと思います」

鈴木「今、『自分で考えられる』というすごく重要なワードが出てきて。私もこれがすごく大切だと思っています。もちろん、若い選手たちは、ある程度の指導者や親の管理やサポートも必要です。でも、結果、『サポートしてもらわないとできない』ではだめ。自分の体を自分で管理できるよう、誰かにコントロールされるのではなく、自らコントロールしていくことを学んでいくことが大切かなと感じます」

皆川「そうですね。やっぱり、先生に言われているから痩せなきゃとか、食べちゃいけないとかいう考えでは、自分自身が心から受け入れているのではなく、やらされている感じになってしまいます。自分の目標を達成したい。そのためには、体形を維持して、自分がしっかり動ける体作りが必要だって、自分が納得し、自分の意思でやっていくことが大事ですよね」

鈴木「選手たちはアスリートとしてのキャリアを終えたあとも、自分の体とは一生付き合っていきます。そのとき、選手としては結果を残せたかもしれないけれど、引退後の体がボロボロの状態で、その先の人生を幸せに歩めなかったら問題ですよね。これはトップアスリートに限らず、スポーツを頑張るすべての女性に言えること。自分の体と向き合うことはとても重要だと思います」

皆川「私はつい先日、24歳で引退したのですが、実は引退後のことは全然、考えられていなかったんです。本当に競技のことしか考えられなかった」

鈴木「多くのアスリートがそうだと思います。目の前のことに集中していると、競技生活を終えてからの人生設計を立てるのってなかなか難しい。私も考えられるようになったのは、25歳を過ぎてからですよ」

皆川「それは何かきっかけがあったんですか?」

鈴木「スケート界以外のお友達と会っていたことですね。皆、仕事、結婚、出産と、それぞれがいろんなライフイベントを迎えている姿を見たとき、『アレ? 私って選手としての目標は叶えられているかもしれないけれど、一人の女性としてどうやって生きていきたいのかな』と頭をよぎったんです。

 当時は月経不順で、毎年、シーズン中は生理が止まっていたこともあって、『私、体大丈夫かな』ってふと怖くなって。それから、競技を終えた先を考えるようになりました」

皆川「そう考えると、時々競技から離れた世界の人と交流したり、話を聞く時間を持ったりすることってすごく大事ですね」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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