ダウンしたからこそ見えた「偉大さ」 井上尚弥の姿勢に米名伯楽は絶賛の嵐「責任感は他を凌駕してる」
ボクシングの世界スーパーバンタム級(55.3キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が4日(日本時間5日)、ラモン・カルデナス(米国)との4団体防衛戦で8回45秒TKO勝ちした。2回にダウンを喫したことに懐疑的な反応もある中、米名伯楽は井上の「偉大さ」を繰り返し絶賛した。

タイソンらを育てた名トレーナーが持論を展開
ボクシングの世界スーパーバンタム級(55.3キロ以下)4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が4日(日本時間5日)、ラモン・カルデナス(米国)との4団体防衛戦で8回45秒TKO勝ちした。2回にダウンを喫したことに懐疑的な反応もある中、米名伯楽は井上の「偉大さ」を繰り返し絶賛した。
井上は2回終了間際、カウンターの左フックを被弾。ダウンを喫した。会場は騒然。試合ではアマチュア時代を含めて人生2度目のダウンだった。その後は反撃に出て逆転勝利を収めたが、ダウンに対しては、井上の実力に対し懐疑的な反応も上がっている。
米ボクシングポッドキャスト番組「ザ・ファイト・ウィズ・テディ・アトラス」公式YouTubeに出演したテディ・アトラス氏は「偉大な男、特別な男、そして稀な男。イノウエやウシク、クロフォードのような男。昔でいえばシュガー・レイ・ロビンソンやヘンリー・アームストロングのような男」と、現役王者と往年の名王者の名を並べて、話を切り出した。
「偉大な男というのは、偉大さを世に理解させるため、何か壊滅的なことを起こす必要がある。彼らがどれほど偉大であるかを見せる必要があるのさ」と説明。「彼らはほとんどの相手を倒せるだろう。偉大さ、才能、考え方、高いレベルのパフォーマンスを見せる責任感。これらは多くのボクサーを凌駕している」とした上で、「だが、本当の偉大さというものは、身の危険を感じるまで現れないものだ。その時に突然、彼らがどれほど偉大なのかを理解することになる」と持論を展開した。
その上で、今回のダウンについて「少しの無謀さで、イノウエの右腕は下がった。カルデナスはカウンターで左フックを食らわせ、ダウンさせた」と、まさに“身の危険”だったと指摘。「それからイノウエは偉大さを見せた。彼はその時気づいたのさ。『ああ、ミスったな』ってね。これが偉大さなのさ」と続けた。
元世界ヘビー級3団体統一王者・マイク・タイソン(米国)の指導にも携わったことのある名トレーナーは、「彼はこうは言わない。『足を使おう』『逃げよう』『距離を取ってカウンターで勝とう』。偉大さとは、自分自身が偉大であると信じることだ。偉大さとは、傷ついた時や身の危険を感じた時でも自信を失わないことだ」とし、ダウンから見事なリカバリーを見せ、TKO劇を演出した王者に賛辞を贈っていた。
(THE ANSWER編集部)