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19.8万円の最高峰ハードシェル、壊れたらどうする? ARC’TERYX「Sperro SV」は3年間回数無制限修理の循環型設計

高価なハードシェルを長く使いたい。でも破損したら買い替え? ARC’TERYX「Sperro SV」は、壊れやすい部分の補強、修理しやすいジッパー、ReBIRDによる3年間回数無制限修理、寿命後の素材再生まで考えて設計。メーカー公式情報からその仕組みを紹介します。

10秒で分かるポイント

Sperro SVは、「高価なハードシェルを壊れたら買い替える」だけにしないため、修理から寿命後の再資源化まで考えたジャケット。

  • ・壊れやすい部分を山岳プロのテスト結果から補強し、耐久性を高めた
  • ・ReBIRDで3年間、回数無制限の修理に対応
  • ・修理できなくなった後はジャケットを分解し、ナイロン素材を再資源化

 ハードシェルは、雨や雪、風など厳しい環境から身体を守るための装備です。一方で、岩や装備との摩擦、ジッパーの故障など、長く使えば傷みが気になる部分もあります。

 特に高価なジャケットを選ぶなら、「破れたり壊れたりしたら買い替えるしかないのか」「修理しながら長く使えるのか」と気になる人もいるでしょう。

 ARC’TERYX(アークテリクス)が2026年9月11日に発売する「Sperro SV Jacket(スペーロ SV ジャケット)」は、そこに製品設計そのものから向き合ったハードシェルです。

 価格は19万8000円(税込)。防水性や防風性、透湿性、耐久性といったハードシェルとしての性能を確保しながら、壊れにくくする、直しやすくする、最後は素材として再生するところまで製品ライフサイクルに組み込んでいます。

ハードシェルは使い込むと壊れる…最初から壊れにくくできない?

 Sperro SVの開発では、バンクーバーのノースショア探索救助隊をはじめとする山岳プロがテストに参加しました。

 メーカーは、そのテストから摩擦やダメージを受けやすい部分、故障しやすい部分を特定し、補強しています。

 つまり、単に丈夫な生地を採用しただけではありません。実際に過酷な環境で使い、どこにダメージが集中するのかを確認したうえで設計へ反映しています。

壊れてから考えるのではなく、壊れやすい場所を先に対策
 Sperro SVでは、山岳プロによるテストで明らかになった弱点に補強を加えています。長く使うための第一段階は、修理ではなく「故障そのものを減らす」ことです。

ジッパーが壊れたら、ジャケットごと修理が大掛かりにならない?

 ハードシェルで頻繁に使うパーツの一つがジッパーです。

 ARC’TERYXはSperro SVのテストで、ジッパー部分に故障が多く発生していたことを確認しました。

 そこで採用したのが、ブランド初となる修理しやすいジッパースライダーです。

 故障しやすいパーツを交換しやすくすることで、ジャケット全体を長く使用することを狙っています。

修理しやすいジッパースライダー

 よく壊れる部分だからこそ交換しやすくするという考え方。耐久性だけを高めるのではなく、「故障した後に直せるか」まで製品設計に含めています。

破れたり傷んだりしたら、実際に修理してもらえる?

 Sperro SVは、ARC’TERYXの循環型プログラム「ReBIRD」を通じたリペアに対応しています。

 日本の公式商品ページでは、3年間の回数無制限修理を含むリペア対応が明記されています。

 つまり「修理しやすく設計した」だけで終わらず、実際に修理サービスまで製品ライフサイクルの一部として組み込んでいます。

買った後まで含めて商品設計
 ARC’TERYXがSystem 0で考えているのは、製造して販売するところまでではありません。使用、修理、回収、その後の素材再生までを一つの流れとして扱います。

何度も修理した履歴はどう管理する?

 長期間使い、修理を重ねるのであれば、「このジャケットがいつ作られ、どんな修理を受けたのか」を管理する必要も出てきます。

Sperro SVでは胸ポケットに、デジタルプロダクトパスポート(DPP)のQRコードをレーザー刻印しています。

 スマートフォンで読み取ることで製品固有のIDを登録でき、素材や手入れ、リペアに関する情報へアクセスできます。

 ARC’TERYXにとって初となるこの仕組みも、「製品を長期間追跡しながら使う」というSystem 0の考え方の一部です。

直せなくなるまで使ったら、結局捨てるしかない?

 どれだけ修理しても、いつかは修繕が難しくなる可能性があります。

 Sperro SVで特徴的なのは、その「修理できなくなった後」まで設計していることです。

 最終的な寿命を迎えた製品は分解し、GORE-TEXメンブレンとナイロン素材を分離。回収可能なナイロンはAquafilへ送られ、再びECONYL再生ナイロン糸へと再生されます。

分解して再資源化

 「丈夫にする→修理する→それでも使えなくなったら素材に戻す」という流れを、最初から製品の構造に組み込んでいます。

Sperro SV

リサイクルを考えると、ハードシェルとしての性能は落ちない?

 循環性を重視しても、山で使うハードシェルとして必要な性能が失われては意味がありません。

 Sperro SVには70デニールの3層GORE-TEX PRO ePE素材を採用しています。

 ARC’TERYXはGORE-TEXブランドとの共同開発により、防水性、防風性、透湿性、耐久性の性能基準を満たしていると説明しています。

 表地と裏地にはAquafilの再生ECONYLナイロン糸を使用。PFASを意図的に添加せずに製造されたGORE-TEX PRO ePEメンブレンと組み合わせています。

 また、循環型製品について耐久性、修理性、素材再利用への対応などを評価するTESTEX Circularity認証も取得しています。

登山専用? スキーやハイキングにも使える?

 Sperro SVはマルチスポーツ対応のハードシェルとして設計されています。

 公式では、ハイキング、アルパインクライミング、スキー、スノーボードなどへの対応を掲げています。

 フィットはレギュラー。ヘルメット対応のStormHoodを備え、胸ポケットに加えてハーネス使用時にもアクセスしやすいハンドポケットを配置しています。

 雪山での利用も考え、RECCOリフレクターも搭載しています。

19万8000円のハードシェル、何が価格に含まれている?

 Sperro SVの価格は19万8000円(税込)です。

 価格そのものが安い商品ではありません。

 一方で、メーカーがこの製品に組み込んでいるのは、防水・防風・透湿・耐久といった着用時の性能だけではありません。

 故障しやすい箇所への補強、交換しやすいジッパー、ReBIRDによる修理、デジタルプロダクトパスポート、修理不能になった後の分解・素材再生までが一つの仕組みになっています。

「買った瞬間の性能」だけではない
 Sperro SVでは、購入後にどれだけ長く使い続けられるか、その後に素材をどう循環させるかまでを製品価値の一部として設計しています。

Sperro SV
【上段:Men’s/下段:Women’s】

Sperro SV Jacketの主な製品情報

商品名 Sperro SV Jacket(スペーロ SV ジャケット)
ブランド ARC’TERYX(アークテリクス)
種類 マルチスポーツ対応ハードシェル
メンズサイズ S/M/L/XL
メンズ重量 506g
ウィメンズサイズ XS/S/M
ウィメンズ重量 450g
生地 70デニール 3層GORE-TEX PRO ePE
表地・裏地 ECONYL再生ナイロン
フィット レギュラー
主な機能 補強構造/修理しやすいジッパースライダー/ReBIRDリペア/StormHood/RECCOリフレクター/デジタルプロダクトパスポート
認証 TESTEX Circularity
価格 198,000円(税込)
発売予定 2026年9月11日

「壊れたら買い替える?」に、修理と再生まで含めて答えたSperro SV

 Sperro SVを理解するうえで重要なのは、単に「リサイクル素材を使ったハードシェル」ではないことです。

 山岳プロによるテストから壊れやすい場所を補強する。故障しやすいジッパーは交換しやすくする。それでも傷んだらReBIRDで修理する。そして最終的に修理できなくなったら製品を分解し、ナイロンを新しい原料へ戻す。

 ARC’TERYXがSystem 0で用意した答えは、「捨てにくい素材を使う」ことではなく、製品をできるだけ長く使い、その後まで循環できるよう最初から設計するというものです。

 「高価なハードシェルを買っても、傷んだら終わりでは困る」。そんな不安に対して、耐久性、修理性、アフターサービス、寿命後の素材再生まで一つにつないだのがSperro SVです。

「Sperro SV Jacket」ARC’TERYX公式商品ページ

【写真提供:アメアスポーツジャパン株式会社】

(THE ANSWER編集部)

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