2人に共通した子供時代の食習慣、大切なのは「楽しく食べること」

橋本「なぜ、ジャンクフードと言われるかというと、カロリー、砂糖、脂質があってもビタミン、ミネラルがない。要はあまり栄養と呼べるものがないからです。それでお腹いっぱいにしてしまうと、アスリートはもちろん、特に成長期の子供は食べたものが骨や筋肉になり、体作りにつながるので、丈夫な体にならないリスクがあることが心配です。食べたらいけないわけではないですが、一生懸命やった時のご褒美くらいがベストでしょうか」

廣瀬「子どもは（情報を）知らないし、判断できないので、大人が気をつけてあげるべきことじゃないかと僕は思います」

橋本「伊藤さんは子育て中ですが、おやつなどで気を付けていることはありますか？」

伊藤「うちの息子は1歳ですが、1歳になると味の濃いものが食べられます。なので、お菓子も味がないもの、お腹いっぱいにならないもの、オーガニック系を選んでいます。飲み物も、りんごジュースとか甘いものは糖質が多いので避けています。まずは3歳まで頑張ろうと。そうすると、彼自身が自分で選択する時に食べたくなくなるのではないかと思うので。ただ、親としても心が折れそうになる時はありますね（笑）」

橋本「子供は選べないので、お父さんお母さんが食べる時間を決めたり、量や頻度を選んだりすることは大事だと思いますね。あとは食が細くて、たくさん食べられない子供が多く『どう食べさせたらいいですか？』という質問も来ていますが、お二人の経験からアドバイスはありますか？」

廣瀬「一つは先ほど挙がった外国人選手のように回数を増やして、こまめにするのは手かもしれないですね。もう一つは食事を楽しい時間にすること。『食べないと怒られる』と子供が思ったら、本来は楽しいはずの食事がしんどくなります。普段の食事にプラスアルファ、何かちょっと頑張ってみよう、くらいの意識でいいのかなと僕は思います」

伊藤「私も子供だったら『これはこの栄養があるから食べなさい』と言われない方がいいかもしれません。廣瀬さんが言うように、現役時代は『楽しく食べないと栄養が吸収されないよ』と栄養士さんに言われていて、わいわいとやっていたことを思い出します」

橋本「私も2人と同じ考えです。子供の頃は栄養のことより、とにかく美味しく楽しく食べる食体験が大事。友達と一緒に食べたりとか、お父さんお母さんと外で食べたり。あまり栄養バランスや手作りにこだわりすぎる必要もない。食べることが楽しかった選手は大人になって、食べることが好きだから栄養のことも考えている印象です。廣瀬さんはお母さんが大事にされていたことはありますか？」

廣瀬「味を濃くしすぎないことは大事にしてくれていましたね。僕は高校も強豪校ではなかったのでアスリートとして育てられた感じもなく、普通のごはんを普通に食べていた。あとは満遍なくいろんなものを出してくれていたのは大きいですね。母親自身も食べることが好きで、楽しそうに作る姿を見ていました」

伊藤「うちも母親が自分で野菜を作ったり、味噌を作ったり、小さい頃からオーガニックが良いという家庭で育てられました。その分、食べではいけないものがすごく多くて、スーパーで買ってもらえるのは遠足のおかしだけ。スナック菓子を持っていくのが楽しかったです（笑）」

橋本「2人の子供の頃の食生活は素晴らしいですね。中には好き嫌いが多く、大人になって直らない人もいます。味覚は子供の時に育つと言われ、子供時代の食生活は大人になって変えにくいもの。なので、子供の食事について考えるのであれば、今からでも遅くないので、できることを始めるのが大切です。あと、もう一つ質問で『ラグビーをしている子供が食べすぎて太ってしまった』と。廣瀬さん、これはどう思いますか？」

廣瀬「ちょっとくらいなら太っていてもいいとは思いますが、一つは時間ですかね。夜遅くに食べてすぐに寝たら、太ってしまう。あとはトレーニングの量とのバランス。あまり練習していないのに食べるのではなく、その日は夜を我慢して、朝にたくさん食べるなど、僕は工夫していましたね」

伊藤「私は現役時代、食事はサラダとスープから食べなさいと言われ、食べる順番を気にしていました。いきなり糖質のあるお米から食べると、血糖値が上がって太りやすくなるためです。食べる順番を気にすると、自然とお腹も満腹になりやすいかなと思います」

橋本「大人は特にそうですね。野菜から取るという意識は大切です。ただ、成長期のお子さんの場合はこれから運動力が増えて身長も伸びていきます。無理に糖質を控えることはしなくていいと私は思います」

（イベントレポートvol.3「『なぜ、農家を応援すべきか分かった』　廣瀬俊朗＆伊藤華英と学んだ『食とSDGs』の意味」に続く）

【川口能活さん、第2回「スポーツ×食　オンラインセミナー」登場】

　5月14日午後5時から行われる第2回は元サッカー日本代表GK川口能活さんがゲストに登場。第1回に続き、伊藤華英さんをMCに迎え、橋本玲子氏と対談。ストイックで知られた川口さんが自身の食の習慣やこだわりを明かす。未来のトップ選手を目指し、スポーツに励む子供を育てる保護者から、指導者、スポーツ愛好家などを対象に「“炎の守護神”の現役生活25年を支えた食のこだわり」をテーマに1時間行われる。

　参加費無料、応募は「THE ANSWER」公式サイトから。（https://the-ans.jp/event/155625/）